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敵中横断二九六千光年2 ゴルディオンの結び目

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「思えば、長い一日だった……今日のこの日のことではない。この七年の歳月のことだ。ガミラスは冥王星の白夜に巣食い、陽の光を一秒も切れることなく浴び続けてきた。対して、地球人類は、地下の穴蔵に押し込まれ陽を見ることができずにいた。この七年の間ずっと……諸君、我らで、この〈一日〉を終わらせよう。七年間の〈夜〉と〈昼〉を逆転させる。冥王星を落日(らくじつ)させ、地球の夜を明けさせるのだ」

七年の〈夜〉――ガミラスとの戦争が始まってから八年になるが、三浦半島に遊星が落ちた日を〈夜の始まり〉として七年。それが人が地下都市に閉じ込められてきた歳月だ。しかし、明日だ。ついにこのときが来た。沖田は胸が疼くのを感じた。長い宇宙での戦いは沖田の体を蝕んでいた。頼む。明日だ。わしはこの〈七年の長い一日〉を、明日のために生きてきたのだ。この体はもう長くはもたないだろう。この旅はわしの命を奪うかもしれん。だがそれでも構わない。明日一日の間だけ、この艦橋にわしを立たせてくれるなら、残りの命をいくら削ろうと後悔はしない。だから頼む。もう少しだけ待ってくれと沖田は胸のうちで叫んだ。わしは地球が救われるのを見届けない限りは死ねん。それでは多くの若者の死が無駄になってしまうのだ。

わしはあの世に届けなければならないのだ。勝った。わしは勝ってきたぞ。この勝利は我々みんなのものだという言葉を持ってゆかねばならん。そうでなければわしの身代わりに死んだ者達に会うことはできん。

そして、お前達にもだ――沖田は亡き妻と息子に想いを馳せた。すまんな。この〈長い一日〉を終わらせなければ、わしはお前達のところに行けん。だからそれまで待っていてくれ。

沖田は言った。「以上だ。諸君。共に戦えることを誇りに思う」

艦橋クルーが立ち上がり、沖田を向いて胸に手を当てる敬礼をした。沖田はひとりひとりを見返し敬礼を返した。

さて……と思う。これでもう、自分としては戦いの前にやるべきことはすべてやった。後はもう、艦長室でその時間まで休むだけだ。気がかりがひとつあるとすれば古代だが……。

あの守の弟は隊をまとめて飛べるようになったのか。ついさっき見たようすでは、まだてんで決死隊を率いる男の顔になっていなかったが……。

作戦決行まであと数時間。しかし、ここで気を揉んでどうなるというものでもなかろう。古代自身に自分でなんとかさせるしかない。沖田は真田に、時間まで休むと告げてゴンドラに乗った。