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なかのあずま
なかのあずま
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ガンダム 月の翅

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 南太平洋の青い空にジュラルミン色の機影があった。ジン・ヒノモトはスプウェル・フェムーリオを駆り北大西洋から踵を返しオセアニアに向かっていた。ジブラルタルに向かっている最中に通信が入り命令が下ったのだ。ポイントマーカーの印された地点に近づくにつれ、ヒノモトの意識は圧迫されていった。
 『意識が乗っ取られそうだ』
そう感じたヒノモトはアンナにこの機体の正体を聞き出そうとしていた。
 「教えてくれ…私は今何に向かっているんだ?」
 『…オセアニアでトラブルがあったのでその対処に』
「そのトラブルとはなんだ」
 『機密漏洩の恐れがあるとして』
「じゃあなぜ私の頭が締め付けられていくんだ!!」
 『おそらく、その機体の気圧制御が』
聞きだすのは不可能とわかり、通信を切るとエアーズロック定め出力を限界まで上げた。


 ベジェルはティアドールに、フィリアスはアルサザーに乗り互いに凌ぎを削っていた。
 「あんなものを使ったらどうなるかわからないのか!?」
「だから改良を重ねたんだよ!」
 「その結果一部が先祖返りをしているんだ!」
「そんなデタラメ!」
 「お前たちはリペアジオジウムを改造し動物で生体実験をしたな!それが寄生し蝕んでいったんだ!」
「何の話だ!」
 「こいつに寄生された動物が身体中から金属の触手を生やして死んだ!」
「………」
 「その金属片を見てみるとリペアジオジウムの外核は中から突き破られていた」
「………」
 「それを解析装置にかけると」
ベジェルは沈黙を貫く。

 「デビルガンダム細胞とあった


デビルガンダムといえば500年以上前に大厄災をもたらした
そんなものが今蘇ろうとしている
いや蘇らせようとしているんだ、貴様らインダストリアがなぁ!!」

 「・・・人類が生き延びるためだ。ん?」
ベジェルがあたりを見ると景色が歪んでいた。フィリアスもあたりを見回した。
薄気味悪く歪んだ空の中を一つの飛行体が向かってきていた。

 スプウェル・フェムーリオはエンジンの反応を探知するとジュラルミンのボディを青白く発光させ更なる加速をかけた。ヒノモトの意識は殆ど飛んでいたがエンジンに近づくにつれ取り戻すとともに精神が研ぎ澄まされていった。そしてエンジン、ティアドールを前にするとコックピットを鷲掴みにし、一気に引き抜いた。

 フィリアスは目の前で起こっていることが飲み込めずにいると、さらに不可解なものとなっていった。

 オセアニアの空にスペースコロニーが落ちてきた。
 
 宇宙世紀0079、1月4日、ジオン公国はスペースコロニーを落とし、それは地球上に甚大な被害を与えた。その威力はヒロシマ型をはるかに超え、有史以来最大の人為的災害となった。
作品名:ガンダム 月の翅 作家名:なかのあずま