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節分

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「豆がいっぱいだ!」
「今日は節分です。邪気を追い払う為に、この節分には古くから行事なんですよ」
「俺知ってるよ!この豆で鬼をはらうんでしょう」
「ほお。フェリシアーノ君はなかなか日本文化に詳しいですね」
フェリシアーノは嬉しそうに、豆を持って立ち上がった。
「うん。見てて!こうやって」
菊の庭に下りて、土に穴をあけている。そこに節分の豆を一個ずつ蒔いていく。
「こうやって、豆を植えたら芽が出て、いっぱいいっぱい茎が出て守ってくれるんだよね。」
両手を空に向けて満天の空を仰ぐフェリシアーノ、その笑顔がとても可愛く、愛らしい。
「大豆の結界のようなものですか・・・くす。それも面白いですね。きっと鬼も入って来れないでしょう」
薄暗い庭の茂みの中からがさがさ音がして、木の葉が怪しく揺れている。
「ヴェェェェ!!何かいるよ!鬼が来たの!??」
菊とルートの後ろに隠れるフェリシアーノ。
「・・・フェリシアーノが怖がってるぞ、兄さん」
茂みの音を立てる主にルートが声をかける。すると、ずぼっと茂みから顔を出してギルベルトが現れた。
「ははは!かわいいなフェリちゃん。俺らの節分は見ててくれ、いくぞヴェスト!」
「やるか、兄さん」
ルートヴィッヒの手にはマスに入った豆。鬼のお面を被るギルベルトに、豆を蒔く。・・・かのように見えたが
一個ずつ。剛速球でギルベルトに向かって投げている。キャッチボールをするように。
「あの・・・豆を投げるんですけどね」
「うわー豆に当たったら痛そうだねー」
小さい豆とはいえど、物凄い速さで飛んでくる。
「豆を投げて鬼にぶつけるんだろう?鬼は豆を落としてはいけないと聞いたが」
「落としてはいけない・・・豆を撒くというのは一個ずつではなくて・・・」
どこか間違った伝言ゲームのようになっている。
「全部投げるのか?」
「鬼に向かって投げて、追い払うのですよ」
ルートヴィッヒからキャッチした豆を食べながらギルベルトが近づいてきた。
「そうか、鬼は悪役なのか。それじゃあ、俺様は逃げるからみんな撒いてくれよ」

『鬼は外、福は内』
今日は節分。
豆は「魔滅」に通じ、鬼に豆をぶつけることにより、邪気を追い払い、一年の無病息災を願うという。

作品名:節分 作家名:千秋けん