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綾瀬しずか
綾瀬しずか
novelistID. 52855
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あゆと当麻~道しるべの星おまけ~

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「当麻がそんなに真っ赤になって言うのはじめてみたような気がする。
今度からロリロリ当麻って呼んであげようか?」
やめろよ、と当麻は嫌そうな顔をする。
「変なあだ名つけるなよ。ただでさえ、くっつき虫やらキス魔やら言われてるんだぞ? それにお前がとっとと大人になってくれれば問題ないんだ」
「誠意努力します。早く大人になって当麻を悩殺してあげる」
最初の言葉をかしこまっていった後、ハートマークを飛ばして言われて当麻は笑う。
「お前が俺を悩殺できるようになるまでに俺はじじぃになるような気がするぞ」
失礼ねっ、と亜由美は口を尖らす。
「こうなったら絶対に早く大人になって当麻を骨抜きにしてやるー」
「楽しみに待ってる」
当麻は答えてまた面白そうにくつくつ笑う。
実際、俺はこいつにもう骨抜きにされているがな、と当麻は心の中で呟く。
かわりに愛をささやく。
「好きだ。愛してる」
私も、と亜由美は答える。
「大好きだよ。めいいっぱい愛してる」
二人はしあわせそうに微笑んで見詰め合う。
しばし、見詰め合ってから当麻は枕代わりにしていた腕を亜由美のほうに伸ばす。
「騒いで疲れたろう? 俺も少し眠るから」
言われて亜由美も手を伸ばす。
手のひらを重ね合わせて指を絡める。
うれしそうな笑みを浮かべた亜由美は静かにまぶたを閉じる。
すぅっと亜由美が眠りに落ちていくのを見た当麻もまぶたを閉じて眠りに身を任せた。

洋間でテレビを皆と見ていた亜由美の姿がないのに気付いた当麻は亜由美を探した。
彼女はリビングの窓から夜空を眺めていた。
「そんなところにつっ立っていると湯冷めするぞ」
当麻が忠告すると亜由美は振りかえる。
「外にいるわけじゃないんだから、いいでしょう?」
不満そうに言ってまた夜空を眺める。
「何、見てるんだ?」
当麻も側に来て一緒に夜空を見上げる。
夏の大三角形が大きく輝いている。
「道しるべのお星様に今日の出来事を報告しているの」
しんみりとした声で亜由美が答える。
「道しるべの星?」
聞いたことの無いような言葉に当麻が首をかしげる。
「私が命名したの。姉様達が光の玉になって今も道を導いていてくれるの。
だから道しるべのお星様なの」
そう言って亜由美は優しく、だが切なそうに微笑む。
「どこにあるんだ?」
当麻が身を乗り出して夜空にその星を探す。
「今の当麻には見えないよ」
亜由美が面白そうに答える。
「って俺だって四神なんだろう? 見えるはずだ」
大きく目を見開いて夜空の星を探す当麻の姿を見て亜由美はくすり、と笑うと当麻の手を取る。
「今、見える様にしてあげるから」
亜由美の手から何か暖かいものが当麻に伝わってくる。
唐突に星図にはない四つの星で出来た道筋が見える。
ふぅん、と当麻はその星達を見つめる。
「一番手前のが天邪鬼の冬玄だな。でもって一番最初が緋影だな。あいつはきっとナイト気取りで」先導しているに違いない。その後ろがお前の姉さんで、そのまた後ろが緋影の後ろをピーピー泣いてくっついている白影だな」
当麻らしい分析に亜由美が噴出す。記憶が無いのにずばりと性格を当ててしまう所が当麻らしい。
「当麻にそこまで言われたら皆、たまんないって。当麻だけがいい顔してたら天誅くらうよ?」
「あんな遠い空から下せるものなら下してみろ」
当麻が挑戦的に言って亜由美は苦笑いする。
「当麻、私の守護人が四人ていうのが気に入らないのね」
当麻はあくまでも亜由美を守るのは自分だけだと思いたいらしい。
図星の当麻はほんのり頬を染めながら不機嫌そうに夜空を眺める。
相変わらずの所有欲と独占欲の現われに亜由美は笑ってしまう。
でも、と亜由美は思う。
当麻のこの強い想いがあればこそ今、ここにこうしていられるのだ。
当麻が再三、引きとめてくれなかったら今ごろきっと惨めな思いをしているに違いない。
「ありがと」
そう言って亜由美は当麻の頬にキスをする。
何がだ?、と当麻は尋ねる。
「当麻のその性格に感謝しているの」
にこにこと笑ってそれ以上言わない亜由美を当麻は不思議そうに眺める。
「沙羅耶って言ったっけ? お前の昔の姉さん。綺麗な人だったんだろうな」
愛らしい亜由美の顔に見とれつつ当麻が言う。
「別に遺伝子的つながりは今の私には無いんだけど?」
今度は亜由美が不思議そうに当麻を見る。
いや、と当麻が首を振る。
「今のお前とかゆも似ているからきっと大昔のお前もそんな顔だったに違いない。
その顔を美人系にしたらきっと綺麗だと思うが?」
言外に自分への誉め言葉が入っているような気がして亜由美の頬は真っ赤に染まる。いきなり、当麻の背中をばしっと叩く。
「誉めちゃってもなんにもでないからねーっ」
「別に特別褒賞をもらわなくてもここに褒美がたんとあるからな」
当麻はすばやい動きで亜由美の唇を奪う。
「もうっ」
亜由美は真っ赤な顔をさらに赤くさせて夜空に目を向ける。
「当麻って一日一回は必ずキスするんだからー」
恥ずかしそうに言いながら亜由美は夜空に光る姉星に向かって心の中で語り掛ける。
私は今日も当麻に愛されています。姉様は今日も幸せですか?
道しるべの星の一つがそれに答えるかのように一瞬、瞬いた。
亜由美はそれを姉の返事だと受け取った。
姉のことを思うとき亜由美の心は切なくなる。
長いときを闇の牢獄の中で過ごし、今また夜の闇に輝いている姉を思うと切なくなる。
「いつか姉様たちの魂も生まれ変われる様にしてあげたい・・・」
切なそうに呟く亜由美の髪を当麻はくしゃっと優しく撫でまわす。
「お前ならきっと出来るよ」
うん、と亜由美は少し頼りなげに頷く。
当麻と姉達の導きを得た今からこそが自分の本当の修行なのだと亜由美は思う。
唖呪羅が復活するまでに自分は真の覚醒をしなくてはならない。
今度こそ、間違いのない様にするから。
亜由美は心に強く誓う。
「お前はもう一人じゃないから。俺達がいるから。だから一人でがんばるなよ」
瞳に力強い光りを宿して星を眺めている亜由美に当麻が心配そうに声をかける。まだ、時々亜由美がふらりと離れていく気がしてならないのだ。亜由美は当麻を見上げてにっこりと笑う。
「わかってるよ。私には大勢のお兄ちゃんとお姉ちゃんがいるんだもの。
末っ子として思いっきり甘えさせてもらうから」
亜由美が調子よく言う。
そうか、と当麻はふむふむ頷く。
「ついに自分が一番子供だと言うことを悟ったか。いい傾向だ」
当麻も調子に乗って言う。
「皆で花火しよー」
唐突に亜由美が言い出す。
「どっかにあまりの花火があったよね? それを皆でやろうよー」
亜由美が当麻の腕をひぱってねだる。
「今は九月も末だぞ? 今ごろ花火してどうするんだ?」
「いいじゃない。まだ九月末。夏だもん。ねー。花火しよー。花火」
「お前はとことんわがままな奴だなぁ」
当麻が笑って答える。
「末っ子の特権は甘える、だもん。思いっきり当麻にわがまま言うんだもんっ」
うれしそうに言う亜由美の顔を当麻もまたうれしそうに見る。
「わかったから、そんなに引っ張るなよ」
ずりずりと引っ張られつつ当麻が言う。
了承を得て亜由美はわーいと声を上げていそいそと花火捜索にかかる。