市丸ギン×松本乱菊 別れと新たなる旅立ち
中央四十六室は藍染らの離反からの一件に区切りをつけるため、罪人の処罰を行うこととし、封印された藍染の裁判を始めた。
だがその一方で、裁判はもうひとつ行われていた。
罪人の名は、『市丸ギン』--
「判決を言い渡す。元三番隊隊長市丸ギン、霊力全剥奪の上、瀞霊廷より永久追放とする。尚、流魂街五十地区以降の立ち入りを禁ずることを付す。」
中央四十六室。
藍染の裁判が行われたあと、同じ場所で市丸の裁判は行われた。
藍染の裁判とは対照的に、市丸の裁判は罪状についての質疑から本人弁論に至るまで、通常通りの進行がなされた。それは、『市丸の行動は藍染の指示に従ったものであり、本人の意思の介在が不明瞭なこと。のちに藍染に刀を向けて戦ったこと。それによって瀕死の重傷を受けたこと等を考慮すべき』との護廷十三隊各隊長からの申し出をうけた中央四十六室の処置であった。
判決後、施術が完了するまで市丸の身柄は三番隊隊舎牢におかれた。
判決の旨はその後、各隊の隊長および副隊長に通達された。それに際し、追放日における西門付近半径三十霊里への立ち入りを禁ずる命令が発令された。
裏廷隊よりその通達を受けた吉良と檜佐木は、それぞれの思いにふけっていた。
檜佐木は言った。
「…吉良、大丈夫か?」
「はい。僕はもう大丈夫ですよ。檜佐木さん」
「…そうか。」
二人の間に沈黙が流れる。
「…あの人は今後どうなるんでしょうか?」
「わからん。俺がわかるのは、あの人は死ぬまで四十六室に囚われるってことくらいだ。」
「え?」
吉良は首をかしげる。
「気づかなかったか?判決に『流魂街五十地区以降の立ち入り禁止』ってあっただろう?」
「ええ。でもそれが一体…」
「流魂街は五十地区を境に急激に治安が悪くなる。すべての霊力を失ったとはいえ、そんな奴らと組んでまた反乱を起こされちゃたまらんってことだ。かといって隊長達の申し出を蹴って投獄すれば四十六室の体裁が保てない。それを考慮したうえでの判決だったんだろうよ。あの人は尸魂界に軟禁されたようなもんだ。」
「…」
「だがまあ」
檜佐木は十番隊隊舎を見つめながら言った。
「俺はそれよりもあっちの方が気になるがな…」
「…」
(松本さん…)
吉良は沈痛な思いで空を仰いだ。
そしてギンの施術が完了し、瀞霊廷追放の日がや
作品名:市丸ギン×松本乱菊 別れと新たなる旅立ち 作家名:りさやん