艦これ知らない人がwikiの情報だけで金剛書くとこうなる。
「ンー?暇だっただけネー。提督こそ、うろちょろしてる金剛に話し掛けるとはお暇デスネー?」
まるで「いい御身分だ」と言わんばかりの口振りに多少イラっとしつつ、見回りをしていたら金剛がうろうろしていたから、と答える。
「なるほどなるほど。提督自ら見回りとは、大変ネー。いい御身分なのにネー。」
イラっとした。…が、日本語の使い方を間違えているだけだと気付く。
ここは提督らしい大人の対応で、優しく説明してやることにした。「いい御身分というのは、例えば自分より目下の相手が偉そうな振る舞いをした時に使う皮肉だ」と。
「OH!そうデシター!」
知ってたんかい。
「日本に来てから、ズイブンいろんな人に日本語教えてもらいましたからネー。」
なるほど、それで「いい御身分」というフレーズだけを半端に知っていたのか。今後は正すように伝えると、金剛は素直に頷いた後で時計を見た。
「了解ネー。…おっと、そろそろTea Timeデース!紅茶とスコーンを準備しないと!」
提督が見回りをしているというのに、いい御身分だ。
そう言ってやると、金剛は「そうやって使うのデスネー」と感心したように答える。お手本で使ってやったのではなく本心だったのだが。
「ひらめきマシター!提督も私とTea Timeにしてはどうデスカー?これは名案デース!」
いや、僕は見回りの後も仕事があるんだが。
そう言う僕に構わず、金剛は自分の名案とやらが確定事項であるかのようにうきうきしている。
「金剛は賢いデスネー。賢くて可愛いなんて、まるで天使のような戦艦デース!」
はあ。まあ、五分くらいなら付き合ってやれるが。
しかし、素直に「じゃあ賢くて可愛い天使のような金剛さんの紅茶をいただきます」では納得がいかない。
金剛さん、また日本語の使い方を間違えていますよ。
「OH!金剛はまた何か間違えましたカー?」
日本語で「賢い」はclever、「可愛い」はcute、「天使」はangelという意味だよ。
教えると、金剛は少し考えた後、顔を赤くして「知ってマース!」と憤慨した。せっかく丁寧に教えてやったのに。
今日の紅茶はアールグレイだった。ベルガモットのいい香りがして、「この後の仕事も頑張れそうだ」と素直な感想が口をついて出る。
ティーカップを手に嬉しそうに微笑む金剛は、普段の彼女よりも少し麗しく見えた。
作品名:艦これ知らない人がwikiの情報だけで金剛書くとこうなる。 作家名:エルオブノス