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エルオブノス
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novelistID. 54547
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艦これ知らない人がwikiの情報だけで夕張書くとこうなる。

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二枚目のせいろが積まれて、早くも三枚目に入っている。

 食べるのは早いなぁ。
 そんな感想を呟くと、夕張は蕎麦をすする手を止めて抗議の言葉を連ねた。

「食べるの『は』!?『は』って何!?他はどうだと言いたいの!?言いたい事があるなら、はっきり言ったらいいじゃないですか!」

 失言だった。重武装故のデメリットを意外と自覚しているのだ。
 他意が無い事を示すために、話題を変えよう。

 そこまで言うならはっきり言わせてもらうが…ほっぺたに付いている蕎麦の切れ端は、新しい兵装かい?
 そう言ってやると、夕張は素早く自分の頬を確認して、蕎麦の切れ端を回収した。

「流石の私でも、顔面に装備は積みません。…いや、ひょっとしたらアリなのかしら?なるほど…突貫用の銛を鼻先に備えた船を見たことがあるわ。でも、砲をそこに備えるメリットというのはあるのかしら。提督はどう思いますか?」

 普段なら夕張のそうした発言は素で、「やりかねないから止めよう」と思うところだが、今は違った。僕は夕張の言葉に返事も返さず、笑みが浮かんでしまうのを止められずに夕張の様子を見ている。
 夕張は何か言いたげな顔だったが、諦めて蕎麦の続きに取り掛かった。

 …さすがに恥ずかしかったのだろう。蕎麦の切れ端を回収した直後に夕張がまくし立てた「顔面兵装論」も、真っ赤になった顔を見ていれば取るに足らなかった。


「御馳走様でした。」

 静かに手を合わせる夕張。しっかり食べる女の子を見ていると気持ちがいい。
 僕もちょうど食べ終わったので、一緒に手を合わせた。

「提督。午後の予定は?」

 夕張の質問に、僕は答える。「読書」と。
 夕張はつまらなそうな顔で、「改装とか」と呟きかけて止めていた。はっきりと「私に新兵装を積みましょう!」と言われていたら、僕は蕎麦兵装の話を蒸し返す気でいたから、夕張の判断は正しかった。少し残念でもあるが。

 この本だよ、と取り出して見せる。夕張はすぐに察した様子で、本と僕を交互に見た。その目の輝きは言葉では言い表せない。

「平賀先生の設計理論が載ってますよね!」

 平賀氏に関係する本なら多少は興味を示すかと思って、何の気なしに見せてみただけなのだが…夕張は心中でどんな想像を巡らしているのだろうか。この本で平賀氏なりの設計様式を学んだ僕が、彼女に更なる兵装を積むと思っているのかもしれない。
 しまった。迂闊な事をしただろうか。

「提督…期待してますよ!」

 やばい。満足げにどこかへ行ってしまった。

 …まあ、仕方ない。せいぜい僕もこの本で学んで、彼女にこれ以上装備が可能かどうかを判断するとしよう。
 駄目なら駄目で、それもまた仕方ない。文句を言われたら「蕎麦を装備してやる」とでも言えば、彼女はきっと黙るのだから。