傷なんか。~黒バス~
俺は分かってた。
「青峰君。好きですよ。これまでもこれからも。」
花が咲くような微笑みでテツは言う。
「・・・おう。」
俺も、と言えないのは俺が臆病だから。
俺は分かってたんだ。俺が言う言葉がテツに与える傷の大きさを知ってて、
何度も何度も傷つけた。
帝光に居た頃、俺はテツに「いっそお前みたいに生まれたかった」と言った。
インターハイの時にはテツが積み上げてきたものを酷く残酷に踏みにじった。
それでテツはどれだけ追い込まれたたのだろう。考えたくもねぇ。
一度、自分の手で手放したことを死ぬほど悔いた。今度こそ、絶対に手放したりなんかしない。絶対に。
~黒子side~
僕は知っている。
バスケの神様に愛されたキミがどこまでも行くことを。
僕を置いて、どこまでも行くことを。
だからこそ、僕は・・・
「青峰君。好きですよ。これまでもこれからも。」
僕が言うと、青峰君は少し視線を迷わせながら応えてくれた。
「・・・おう。」
あぁもう、そんなに怯えないでください。青峰君。
きっと君は悔いている。僕を傷つけたことを。
でも、そんなものはもうどうでもいいんです。
僕の願いは叶った。キミが笑顔でバスケをしてくれている。それだけで僕は
いくらでも強くなれるんです。
これからのことは、誰にも。僕にもキミにも分からない。
だからこそ、これは僕の決意表明だ。
「ずっと、好きですよ。」
傷なんか残ったっていい。
作品名:傷なんか。~黒バス~ 作家名:みつくろ