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寝込みを襲う(ロイ×エド編)

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いつもの通りに報告書なんかを片手に持って大佐の執務室の扉を開く。
「よお、大佐。ほーこく……しょ?」
いつもなら机に向かって書類にサイン。苦虫をつぶしたような顔で。なのに今日は。仮眠なのかサボリなのかソファに横になってすやすやと寝息なんか立てている。そっと近寄ってその寝顔を覗きこんでも身じろぎもしない。
……こ、これはチャンスかっ!!
顔を、そっと寄せてもまだ起きない。すうすうという規則的な呼吸音。
……起きそうもねえ、よな。なら、しちゃっても……。
いいよな、かまわねえよな。やる気満タンでふんふんとオレは大佐の唇めがけて突進開始っ!しようとしたら大佐の瞼がピクリと動いた。オレはすぐさま後方に退却。うおー、あぶねっ!
ちゅーとかかまそうとした瞬間に大佐が起きたら目も当てられねえ。何してるんだとか咎められるくらいならいいけどさ。キモチワルイとかそんな顔されたら流石のオレもかなりへこむ。いや、その、起きてる時の大佐にちゅーなんかかます気はねえんだけど。……て言うか好きだとか告白する気もねえけどさ。ええと、オレもオトシゴロなわけで。気持ち言えなくてもその……バレねえならちゅーくらいしたいかなとかとかとか思ってみたりたりで……。いや、ほら。どーせ大佐なんかあっちのおねーちゃんにもこっちのおねーちゃんにもお愛想振ってより取り見取りのつかみ取りで日毎夜毎に変わる恋人様が大勢いらっしゃることだろーから。……一回くらいオレとキスしたって大佐の唇減るもんじゃねえだろって。あー……いやそのあれだ。……そーだよオレが、大佐とキスしたいだけ。いいじゃねえか記念に一回くらい。でも目ぇ覚ますんじゃねえぞ大佐。オレはアンタにオレの気持ち、バレたくねえんだからさ。どーせこの女好きはオレから告白されたところで男はちょっととか女の子なら大歓迎なのだがねえとかなんとかかんとかそーゆー理由でお断りしてくるんだろうしな。結果の分かり切ってる愛の告白なんてオレは欠片もする気はない。だけど、こんなふうに無防備に、寝こけているんだからさ。
……初恋の記念に、ちゅーの一発くらいしちまってもかまわねえよな?
オレはもう一回チャレンジだとばかりにそおっと大佐に近寄った。あ、なんかいい香り。整髪料とかそういうのかな?それとも大佐のモテフェロモンか?なんかいい匂いがするなとか思わずふんふん匂いを嗅いじまった。そしたら。
「ん……」なんて寝息みたいな小さな声がっ!!
うおっ!いきなりなんだっ!ね、寝てるよな。ただ寝返りとか寝息とかそーゆー類のもんだよな?いやしかし、大佐のこーゆー声もなんて言うかそのあれだ。……ソソラレルっていうんでしょうか?あーはははは。うっし、これはもうヤるしかないだろう。
息を想いっきり吸って吐いて、いざっ!大佐の唇奪ってやるっ!

……って勢い込んだのに。寝ているはずのこの大佐が、
「あ、ははははははは鋼の君ね……」
いきなり、ホント唐突に腹抱えて笑いだしやがった!
「て、テメエ……っ!起きてたんかよっ!狸寝入りかっ!!」
あー、チクショっ!なんだよこの馬鹿大佐っ!起きてたんなら起きてるって言えよっ!そしたらオレだってこんなこと……。つか、マズくねえ?オレは今、眠っている大佐に内緒でキスなんかしようとして。で、それバレたってことじゃねえのかこれは。
マズイ。オレの顔色がサアアアっと青に変わる。
オレが何しようとしてたのか気がつかない大佐じゃねえ。ああ、ヤバイ。こんなことでオレの気持ちがバレるなんて。ああ、これできっと大佐に告白する前にお断りとかされるんだ。
地の底まで落ち込みそうなオレに向かって、未だに大佐はくっくっくとか笑ってやがる。
「君ねぇ、鋼の」
「……なんだよっ!」
「君の鼻息が、当たってくすぐったくてね。いや、これでも頑張って耐えていたのだが……」
「……っ!うっせーわりぃかよっ!!!」
鼻息って鼻息って鼻息って……。ロマンのかけらもねえ単語。くすぐったくて大爆笑って?あー……すげえ嫌になる。も、のすごっく恥ずかしいってか馬鹿みてえじゃねえかオレ。
うううううと唸り続けるオレを、大佐は無理矢理引き寄せた。
「君に寝顔を覗きこまれるのもいいものだけどね。いくら待っても触れてくれないものだから。私の方が痺れをきらしてしまったよ」
とか何とかほざいた口が、オレの唇にちょこんと触れた。
へ……?い、今の感触ナンデスカ?なんか柔らかいものが……ってあれ、今の大佐の唇?
一瞬触れて、すぐ離れて。あの……今のはなんだ?オレの妄想?
初めて触れたその唇の感触は。
ええっと?そのあの今の夢?
あんまりにあんまりな出来事にオレはあんぐりと口をあけて呆けちまって。そしたら、また大佐がくすくす笑って。
「百年の恋も冷めるような阿呆なツラだな。まあ、そんな顔も君なら可愛いだけなのだがな」
そして、また。今度はさっきの百倍くらい長い時間。オレが夢だとか思えないくらいの長い間。大佐のその唇でオレのそこが塞がれた。


ー 終 ー