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アリスパンツ会議 1

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クローバーの塔の会議場。
もうすぐ会合が始まるため、場内は人で埋め尽くされごった返していた。
その中央に近い貴賓席でストライプスーツの青年が二人
つまり帽子屋屋敷の双子の門番ディーとダムである。
彼らはお世辞にもお行儀がよいとは言えないだらっとした格好で話をしていた。
「あーーもーつまらない、会合ってどうしていつも話し合いなんだろう
いっそ斬り合いにしてくれたら最高に楽しめるのにね、兄弟」
「そうだね、兄弟
臨時ボーナスが出るって言うなら少しはましになるんだけど」
「ボーナスもいいけど、休憩がないとダメだよ、兄弟
あ!今回もまたボリスとサボっちゃおうか」
「それはいいかもしれないね、兄弟
じゃあこの始まる前のざわついている時に・・・」
「こら、お前たち、大人しく座っていなさい、もうすぐ定刻だ」
彼らの後ろに現れた二つの影は、二人の上司だった。
奇抜な帽子のブラッドは一見貴族風の出で立ちだが、人々に恐れられるマフィアのボス。
身内にも容赦がないはずだが、今日は何か違っていた。
「ブラッドの言う通りだ!クソガキども、今からふけようなんざ承知しねえぞ」
こちらは通常営業のNO.2。
ニンジンは嫌いでニンジン料理が大好きな自称ブラッドの犬のエリオット。
今日も今日とてご主人にくっついて嬉しそうだ。
「えぇっ、ボスが優しい!?」
「ちょっとおかしいよねぇ、兄弟」
聞こえているはずの当人ブラッドは、部下に目もくれず上座に腰を下ろした。
鼻歌でも歌いそうな雰囲気、不気味だ。あちらの双子がいたらきっとうっとりするくらいに。
と、そこにこの塔の主、ナイトメアが通りかかる。
さっきのせりふを聞いていたらしい。
「んん?帽子屋、なんだ、今日はやけに協力的じゃないか
さては私の素晴らしさに胸を打たれて改心でもしたのか?」
「ああ?ブラッドが素晴らしいのは前からだ
てめぇこそ少しはブラッドを見習ったらどう・・・」
「煩いぞ、エリオット」
今にもかみつきそうな部下を制して、ブラッドはナイトメアに言った。
「夢魔、私は今機嫌がいいんだ、何せ今回の議題は――」
「議題?」
「ああ、聞かされていないのか、気の毒な」
その同情的な態度は芝居がかっていて、何か意図を感じざるを得なかった。
恐らくナイトメアがまだ知らないということを知っていたのだ。
心を読むこともできないのに!
「え、ちょ、私は何も知らないぞ!どういうことだ!」
「おーい、始めるぞー!!」
「え」
夢魔の振り向いた先、自分が座るはずの議長席にはなぜか遊園地オーナーであるゴーランドがいた。
いつもの黄色を多用した目に痛いジャケットではなく黒を基調にしたスーツに身を包んでいる。
(ここからはナイトメアの可哀想なシーンをお楽しみください)

「方々、集まってるか?」
ゴーランドの呼びかけで、場内に緊張感が生まれる。
普段まとまりのない役持ちたちが真剣な面持ちであるのに気付いた役なしたちはそそくさと会場を後にした。
それを待って、人差し指を上げた人がいた。深紅のネイルでかたどられた美しい指だ。
「うちの迷子が来ておらぬ」
「ええ、出かける前に声はかけましたが、今どこにいるのやら」
至極嫌そうに女王が言って、これまた至極嫌そうに白ウサギの宰相が説明した。
が、ナイトメアにはチンプンカンプンだ。
「ええ?」

「うーん、全員集まってからにしたかったが、時間もねえ、始めるか」
「そうそう、おっさんとっとと始めちゃおうぜー」
「うんうん、早く始めよう、チーズが冷めないうちに」
遊園地組も雰囲気に便乗して盛り上がっている。
が、やっぱり置いていかれているナイトメア。
「お、おい・・・」

「悪い、遅くなった」
「グレイ!!」
そう、そうだった!ナイトメアにはグレイというおかんがいるんだった!
最後の砦、最後の良心。
涙が出るくらいほっとして夢魔はグレイに話を聞こうとした・・・のだが。
「蜥蜴、アリスはちゃんと外出したか?」
「ああ、城を出るのを確認して来た」
「へ?」
グレイはゴーランドに返答してすぐに着席してしまった。
さらにそこへ、待ちきれない男が声を上げる。
「それじゃあ始めようじゃないか、魅惑の会合を!」
紅茶を語る時の様に陶酔したブラッド。
ゴーランドは隣の無表情をつついて言った。
「帽子屋はわっかりやすいなぁ、お前さんもあれくらい素直に喜んだらどうだ、時計屋」
「は!私が喜ぶ?何を喜ぶと言うんだ、バカバカしい!」
会合の始めるおよそ3時間帯前から誰よりも早くそこに座っていた男、ユリウス。
普段は仕事が忙しいと言ってほとんど外に出ないのに、これはどういうことだろう。
「はっはっはー、そんなに怒るなよ、悪かった、お前さんも十分素直だな」
「はあ?何をどう見てそんなっ」
「ユリウス、そうやって動揺すると相手の思う壺だよ?
もっと鷹揚にして、分かりづらくしなきゃ」
ユリウスの横から声をかけたのはジョーカー(白い方)。その横には黒い方もいる。
それまで全く存在を気付かせず、影の中から出てきたような、そんな気さえする。
「ジョーカー!お前、いつの間に」
「俺たちはずっと前からここにいたぜ、お前たちが浮かれてて気づかなかっただけだろうが
それよりも、だ、俺様は忙しんだ、とっとと始めやがれ」
相変わらず口の悪いブラックさんは、両足をテーブルの上に乗せて偉そうだ。
議長ゴーランドはそんな態度も意に介さず、ほがらかに言った。
「おおそうだな!ハートの騎士は不在だが、他が集まっってんだ、予定通り始めよう
議題内容は既に知らせていた通りだが、領主が教えていないところもあるだろう
改めてここで説明させてもらうぜ」
「ま、待てっ!」
そこへ我に返った男。
「あ?どうしたんだ夢魔」
「どうしたもこうしたも、どういうことなんだ、私は領主なのに、何も聞いてないぞ!」
「俺が情報を止めました」
しれっとした顔でグレイは答えた。
「なっ、グレイお前」
「遊園地からこの議題についての相談が来て、寝込んでいるナイトメア様の代わりに返事をしたんです。
ちなみにあなたに報告しなかったのは、あなたの体調を思ってのことです」
「私の代わりにぃ?」
「議題については、やつが説明すると言っているのでそれを聞いてください。
聞けば俺の言っていることもわかります」
「なななな、上司を差し置いて!」
「おーい、説明すんぞー」
「うう・・・」
これ以上騒いでも無駄だろう。ナイトメアは言い足りない文句を押し戻した。

「議題は<アリスのパンツ>だ」

「!!!!!」
ここで、議題を知っていたものと知らなかったものが判明する。
議長はもとより、思わせぶりだったブラッド、グレイ、ユリウス、城組
それにジョーカー’Sは訳知り顔だ。
それから、聞いたわけではないが何となく分かっていたのがボリス。
その他はびっくり仰天した。
「ちょっとボス、なんで僕たちに教えてくれなかったのさ!」
「そうだよボス、こういう重要なことは事前に通達するのがトップの役目ってやつじゃない」
「パ・・・そう、だよな・・・アリスも穿いてるんだよな・・・穿かなきゃ腹が冷えるもんな」
作品名:アリスパンツ会議 1 作家名:なぎこ