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思わずの・・・ すずめside

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この間テレビで特集してた
中華街の美味しいもの。

うちでゆゆかちゃんと
テレビを見ていて、
肉汁じゅわっとの
小籠包が美味しそうで。

「ゆゆかちゃん、これ
食べに行こうよ!」

と誘ったら、
無下もなく断られた。

最近土牛先輩とのデートで
忙しいみたい。

ああ、小籠包…


馬村と帰る途中で、思わず
「小籠包食べたいな…」
とつぶやいていたらしい。

「中華街にでも行くか?」

と馬村が言ってくれた。

「え?!ホントに?」

そうだ、馬村と行けば
いいじゃん!


翌日早速行くことになった。

小籠包、小籠包!

でもふと行き道、
馬村と二人で中華街…
これってデート?!

と思ったら、
なんかドキドキしてきた。

一緒にどこか行くってだけで
嬉しいのに、中華街とか
すごいテンションあがる!

「ほら、馬村!
あっち行ってみよう!」

と言って思わず
腕をグイッと引っ張ってしまった。

あ…

馬村が真っ赤だ。


そっか。まだあるんだ。この癖。

「ごめん。」

馬村はきっと嫌だろう、
と思って、思わず謝ると、

「気にしてねえし。」

とソッポを向く。


ホントに?

一緒に気にせず歩きたいなぁ。

馬村にも楽しんでもらいたいなぁ。

前に馬村は、
女の子に慣れてないから
って言ってたっけ。

じゃあ、手を繋ぐのに慣れたら
平気になるんじゃないのかな?

「じゃあ、手を繋いでよう。」

馬村の手を今日は離さないと決めた。

財布を出す以外は
ずっと繋いでいた。

財布を出すのが
嫌になるくらい。

カッカと馬村の体温が
伝わってきて、
自分もなんだか熱くなる。


なんか変な感じ。

小籠包食べに来たのに、

中華街の美味しいものを
食べているのに、

なんかもう胸がいっぱいになる。


馬村に対して
こんな気持ちになるなんて、
去年までの私には
考えられなかったな。


グゥゥゥ。

あれっ。

もう胸いっぱいで
食べられないと思ったのに。

自分のお腹がなる。

「プッしょうがねえな。」

そう呆れながらも、
自分の買った小籠包を
ほら、と馬村がくれた。

どうせ腹すかせると思って、
だって。

なんで馬村はこんなに
私のことがわかるんだろう?

全部ちゃんと
受け止めてくれるんだろう?

ああ、もうホント好きだなぁ。

そう思って
「馬村と来れて嬉しい。」
と言ったら、
頬にチュッとされた。

「あ…」

考え読まれてた?!

自分の顔が赤くなるのがわかる。

あれ、そういや馬村、
赤くないや。

なんで?

自分からしたから?

私から手を繋ぐと赤くなるの?

だったら自分からはできない?!

それは…なんか嫌だ。


でも馬村から繋いでも
やっぱり赤くなった。

「帰るぞ。」

と言って歩き出したけど
もう私からはなんとなく
繋げない。

なんだよ。

ちぇー。

馬村のバーカ、バーカ。

なんで手を離すんだよ。

なんか小籠包、すごく
楽しみで行ったのに、
馬村のことばっかり
考えてる。

でも最寄駅に降りて、
家までの道。

ふっと馬村が手を繋いできた。


えっ。

馬村は普通にスタスタ歩いてる。

考え、また読まれたわけじゃない?

手を繋いでるの、
気づいてないっぽい…

顔も赤くない。

「馬村?」

「なんだよ。」

「今手を繋いでるのに
赤くなってないよ?」

えっと驚いた顔をする。

ホントに気づいてなかったんだ。

みるみる赤くなる。

そうか、無意識ならいいのか。

「思わずやったらいいんだよ。」

そう言うと、

「そんなこと言うな」

と怒られた。

なんで怒られるの?

「ハァァ」とため息まで。


そんなにおかしいこと言ったかな?


「?どうかした?」

と顔をのぞき込んだら
ふいにキスをされた。

手を繋いで赤くなるのに、
馬村は時々こういう
大胆なことをする。

「思わずすればいいって
オマエが言ったんだろ。」

「キスしろなんて言ってない。」

ウソ。ホントは嬉しい。
手だって繋ぎたかった。

「…嫌じゃないけど…」

というと、今度は
ぎゅっとだきしめられた。

「!!」

あれっ今度は赤くない。

そう言うと
「イチイチ確認すんな。」
と言われた。

それもそうだ。

馬村がいいって言ってんだから
もういいや。


気にして手を繋がれない方が
なんか嫌だ。


手を繋いで赤くなる馬村も、
ふいにキスをしてくる馬村も、
どちらも好きなことに変わりない。

「うん。馬村だったらなんでもいい。」


ホントだよ。

全部が好きだよ。

心の中でつぶやいてみる。

口にするのはまだ恥ずかしい。


「次はどこに行く?」


次?

どこへでも馬村となら
嬉しいし楽しいけど…

うーんと、と
考えるフリをする。

離したくない、

離れたくない、

いっぱい一緒にいたい。


美味しいものも嬉しいけど、
馬村と一緒にいられるってこと、
それが一番嬉しいんだ。私。