レロレロ物語
<序>
どこかの海に浮かんでいるレロレロ島。
錬金術なども盛んなこの島には、霜園医院という病院がある。
ゾノさんと呼ばれる、院長の霜園ゆり。あとは従業員が二人いる程度の、小さな病院だ。
ゆりは、研究の興味対象が少しだけ偏ってはいるものの、
医師としては超一流の腕を持つ、まごう事なき天才である。
また、上級錬金術士という国家資格を有しており、
錬金術士としてもなかなか優秀なのだった。
医学と錬金の知識を駆使して、新薬の開発も行っていて、
特に、ゾノ汁と呼ばれる媚薬は、世界的に高い評価を得るヒット商品となった。
だから、小さな病院の院長ではあるが、常に多くの患者や顧客から頼りにされており、
ゆりは忙しい毎日を送っていた。
さて、そんなある日。霜園医院にて……
――――
「では、今日も往診に行ってくるわ。帰りは夜遅くなると思うけど、アナタ達、留守番をよろしくね」
「了解なのねん。別に帰って来なくてもいいのねん」
「ゾノさん行ってらっしゃい。お気を付けて」