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やきもち

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「馬村センパーイ!」

一年前もこういうのあったけど、
あの時はまだ馬村の
彼女じゃなかったし、

(偽彼女だったけど)手を繋いで
帰れば、みんなすぐ飽きたから
よかったんだ。

が、今年は違う。

手を繋いで帰っても
後輩女子の黄色い声が
止まらない。

そしてとうとう、
「馬村先輩!好きです!」
と告白する子まで現れた。

私が一緒にいるというのに!

(しかも手を繋いで帰っているのに!)

馬村はウザそうに、

「オレ、コイツと
 付き合ってんだけど。」

と、相変わらずの口調だ。

でも彼女は引き下がらない。

「知ってます!
 でも伝えたくて…」

気持ちを伝えたら私より
馬村は自分を好きになる
自信があるってことなのかな…

私って一体…

「知っててなんで言うの?
 伝えたって
 どうにもなんねーし、
 気持ち考えろよ。」

プイ、と馬村はそっぽを向いて
不機嫌そうに
彼女を無視して帰ろうとする。

「でも私、中1の時から
 先輩のことだけ見てたんです。」

中1?

「同中で、ずっと好きで…」

「でもオレアンタのこと
 知らないし、
 彼女ここにいるから。
 悪いけど。」

馬村はそう言って
すずめの手をグイッと引っ張り、
告白してきた後輩を
その場に置いて帰った。

前に比べて馬村は女の子に
優しくなったな、と思う。

前は完全無視だったし。

いや、そうして欲しいって
思ってるわけじゃないけど…

モヤモヤモヤ。

贅沢になってるんだろうか……


すずめの頭の中は
休まる暇がない。


「馬村、今年もモテるね。」

「マジ、ウゼェ…」

「さっきの子、中1から好きってよ。」

「知らねーし。喋ったこともねぇ。」

「私が出逢う前の馬村を
 あの子は知ってるんだ。」

「は?喋ったこともねぇ女が
 オレのなにを知ってるってんだよ。」

「さぁ?」

「なんだよ。」

「馬村が悪いわけじゃないけど
 なんかモヤモヤする。」

「何?オレが信用できねーっての?」

「ううん。そうじゃなくて…」

「……もしかして、
 やきもちやいてる?」

すずめはカァァァッと
赤くなった。

馬村も少し顔を赤くした。
どことなく嬉しそうだ。

「うん。たぶん…そうかも。
 馬村、ブサイクだったら
 よかったのに。」

「何だよそれ。」

「なんで私が隣にいるのに
 告白とかされちゃうのかな。」

「私、彼女に見えてないとか?」

「見える見えないは関係ねぇだろ。
 オレがどんだけオマエを好きだと
 思ってるんだよ。
 誰が何を言ってこようが
 そんなのどうでもいいわ。」

馬村がちょっと拗ねたような
顔をして言った。

「え…」

馬村の思いがけぬ告白に、
すずめは照れて俯いた。

「なんだよ。」

「今好きって……」

「///は?そこ掘り下げんな。」

「それでも嬉しいなぁ
 と思って…」


馬村はすずめの家まですずめを送り、

「じゃあね、ありがとう。」

とすずめが家に入ろうとすると、

「オイ。こっち向け。」

と馬村が言った。

「ん?何か忘れ物?」

すずめは振り返って
馬村の顔を見ると、
馬村の目がまっすぐに
自分の方を見ていた。

「好きだ。」

馬村が真顔で言った。


「……えっ///あっうん。ハイ。」

突然の改まった告白に、
すずめはドギマギした。

「何だそれ。
 お前が言われたら嬉しい
 って言ったんだろ。」

「そうだけど…照れるね、やっぱり。」

「オレだって今更
 こっぱずかしいわ。
 もう言わなくてもわかれよ。」

今頃馬村も顔が赤くなる。

「……オマエも言えよ。」

「えっ!?///」

「オレにだけ言わすの
 ずるいだろ。」

「え~~~///…」

馬村が早くしろよ、
という顔をしている。

「………す…好きです…」

顔を真っ赤にして
すずめは横を向いて
小さい声で言った。

自分で言わせといて
馬村も全身赤くなるほど
真っ赤になっていた。

「やっぱこれやめない?
 心臓持たない…」


「…そうだな////」

全身真っ赤な二人は
しばらく照れ照れと
立っていた。


「でもこれでわかったか?
 やきもちとか必要ねえの。」

「うん…」

すずめはそう言うも、

「でもまた不安になったら
 さっきの言ってね。」

と馬村にお願いした。

「不安にさせてるつもりないけど。」

馬村は不本意そうに言う。

「私が勝手になってるだけだよ。
 自分に自信のあるとこなんて
 歯並びくらいだし。」

「ぶっ。歯並びで好きんなった
 わけじゃねーけどな。」

「心配いらねえから。」


「…うん。ありがとう。
 じゃあ、また明日学校で。」


二人はそう言って別れた。


「へへへ。」

玄関に入ってすずめは
ニヤニヤが止まらなかった。

「どうした?すずめ。
 なんかいいことでも
 あったのかい?」

諭吉に言われて、ハッとする。

「なんでもない。」

そう言ってすずめは
慌てて自分の部屋に行った。


すずめは、さっき
馬村が言ってくれた言葉を
思い出しながら、ボンボンボンと
クッションを叩いた。


同じ頃、馬村も
音楽を聴きながら帰っていたが、
こういうセリフが
アイツから聞けるなら
モテるのも悪くない
と思っていた。

「はぁ。ヤベえな、コレ。」

立ち止まって
緩む顔を隠した。


ところが次の日にまた

「馬村センパーイ!キャー!」

という女子の声に、
馬村もすずめも額を
ピクピクさせることになるのだが。

作品名:やきもち 作家名:りんりん