二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

君を想う、君が想う。

INDEX|1ページ/1ページ|

 
目を、合わせられなくなってどれくらいの日にちがすぎただろう。
突如気づいてしまった自分の恋心に気づいてしまったあの日から、


俺は古泉の目を直視する事が出来ない。


「男が、俺が、古泉が好きだなんて最大で最悪なジョークだ」
そんな風に思ってみても、多分この気持ちはジョークなどではない。


まるで女の子が年上の上級生を影から見る様に
俺は古泉がボードゲームに夢中になっている所を盗み見してしまう。
卑劣だな、と思いつつまぶたの上をそっと縁取るまつ毛が揺れるたびいちいち動揺すらしてしまう。


しかも自分でも可笑しいと思うのは、
古泉に対して性的興奮を覚えることで、
しかも俺は古泉に抱かれたいと思っている。


そんなある日、最近挙動がおかしいと思った古泉に呼びだされた。



「最近のあなたは…僕を見てはくれないんですね」
僕、何か悪い事しましたか?
と不安げに目を伏せる古泉になんと言ったらいいものかと考えを巡らせる。


「悪い事、したよ」
「原因が検討つきませんが…謝った方がよろしいですか?」


妙に冷静な古泉に腹が立ってしまう。
こんなに苦しいのに。
こんなに、こんなに、口からこぼれ出しそうな言葉が、
お前を困らせてしまうのに。
だからこんな困らせてるお前は悪い事をしてるんだ。


「お前はずるいよ…多分俺もずるいだろうけど」
「…うーん、あなたが何を言いたいのか分かってあげられなくて申し訳ない」


申し訳なさそうに首を垂れる古泉に、わからなくていい、と一言。
分かるって事は俺がお前を好きってばれるってことだろ。


俺は今のまままでいいんだ。
ひっそり想って、いつかこの思いが消えるのを待つ。
それでいい。


こんな、こんな想い。



「でもあまり僕にそっけなくしていると涼宮さんが怪しみますよ?」
「ハルヒなんかどうでもいい」
「僕が困ってしまいます」
「お前はいっつもハルヒハルヒだな」


ハルヒになりたいと思った事なんか一度もないけど
今だけは、すこし。うらやましいとさえ感じた。


「ハルヒが好きなのか?」
「まさか!恋愛対象としてみた事はありませんよ」

思わず口から出てしまった、禁断の言葉。


「それに、僕には好きな人がいますから」
さらりと口に出したその言葉にどれだけショックを受けただろう。


好きな人が、いる?


「へ、へー…。うまく行くと、いい、な」


口のナカがからからで言葉がつまる。


「多分、うまく行くと思いますよ?」
「大した自信だな」
「ええ、相手も多分僕の事が好きみたいですから」


目の前が真っ暗になる。
キャラ的に許されるなら泣きながら走り出したい。


さすがにそれはどうかと思い、
「そろそろ…部室戻ろうぜ」


そう言って階段の手すりをつかんだ。
その手を少しひんやりとした手が掴む。


「…なんだよ」
「僕の好きな人が、誰だか知りたくないですか?」
「いいよ、別に」


それは残念、といつもの肩をすくめるジェスチャーで古泉は笑った。


「聞いたらびっくりすると思いますけどね」
「今度、聞くから、手、はなせ」
「これは失礼」


離れていった手にすがりつきたくなった。


「僕の好きな人が素直になって告白してくれるのを待つか、自分で言うかを今迷っているのですよ」
「好きにしろよ」


そして俺は階段の踊り場から転がるようにして脱出した。
これ以上そんな話は聞きたくなかった。




「少し意地悪しすぎたかな?」
一人残された古泉はそうつぶやく。



「いつ好きだって言ってくれるんですかね?」
いつか訪れるだろうと言う日を想像して古泉はうっすらとほほ笑んだ。
作品名:君を想う、君が想う。 作家名:トヲル