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オダワラアキ
オダワラアキ
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in沖縄②

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ひるなかの流星 in沖縄 の続きですが、②だけでも読めます。


店の前でゆゆか達と合流したすずめと馬村は、自然に女子と男子とに分かれて店へと入った。
ホテルでの昼食は、正直沖縄らしさのかけらもないイタリアンで、ただカトラリーレストがシーサーっぽい顔が付いている物だったが、胴体部分がフォークやスプーンを乗せるため長くなっていて、どう見てもダックスフンドにしか見えない。
男子高校生にとっては、ソーキそばだけでは全く足りないため、たとえ沖縄らしさなどなくても、イタリアンのパン食べ放題はありがたいと言えるだろう。
馬村が、犬飼からの忠告を受けて赤面している頃、すずめもまたゆゆか達に平謝りしていた。
「心配かけてごめん」
「ほんとよ!全くあんたは…。まぁいいわ。面白いもん見せてもらったから」
「へっ?」
「えっ?なになに?面白いもんって何?」
ニヤリと笑うゆゆかの言葉に、すかさず反応したのはカメだった。
「ふふ〜あとで教えてあげる。とても本人の前では言えないわ。」
(あ、ゆゆかちゃん…地味に怒ってる…しばらくイジられるだろうな…)
でもそれだけ心配してくれてたということで、すずめとしては引っ叩かれるぐらいの覚悟はしていたのだが。
「あ、すずめちゃん!今日さ、お土産買いに行かない?結局何も買えてないでしょ?」
パスタを食べながらツルが馬村に、今日はすずめちゃん貸してよね。などと言うから、すずめとしてもいたたまれない。
そういえば、おじさんへのお土産も結局買えないまま東京に帰ってしまった為、お土産は何も買えていなかった。
「いいの?みんなもう買ったんじゃ…」
「うん、昨日はさ国際通り行ったから、うちらはお土産買ったんだけど、すずめちゃんのお土産&観光も兼ねて、琉球ガラス村行ってみない?うちらも行きたいしさ」
「うん!ありがとう!」
すずめは色々と悩んでいたことが全て吹っ切れたからか、お〜き〜な〜わ〜バンザーイと言いながら、満面の笑みでパスタを食べ終わる。
「犬飼たちは?どうする?一緒に行く?」
「ん?ガラス村かぁ…女の子が好きそうな感じだね。俺らはアウトレット行こうかって話してたんだ。そんなに場所離れてないから、あとで合流してもいいね」
ツルに聞かれると、相変わらず照れたように頭をぽりぽりと書きながら話す。
「そっか、じゃあ今日は別行動だね」


食事のあと、1度部屋に戻りお風呂にも入っていなかったので、軽くシャワーを浴びてから、支度を終えた。
「ごめんっ!おまたせ〜!」
「遅い!タクシー待ってるわよ!」
ゆゆかに急かされて、急いでタクシーに乗り込んだ。
琉球ガラス村は、泊まっているホテルから車で20分ほど行ったところにあり、ガラス工房で職人のグラス作りなどを見学出来たり、ガラスショップでは数々のグラスやケーキ皿、アクセサリーや花瓶などが売っている。
ガラスショップのエントランスは色とりどりのガラスで作られた天井がドーム状になっていて、しばらく目を奪われた。
すずめは、泡花見グラスを買うことにした。可愛く花が散りばめられていて、グラスが泡を立てたようなデザインになっている。5個セットの物があったので、2個はおじさんに、3個は馬村家へのお土産にしようと思ったのだ。
その後、工房の見学をして3時を過ぎていた為、ホテルに戻ることにした。

ホテルの部屋に戻ると、ツルとカメはホテル内にあるカフェでお茶をするといって出掛けていった。
ゆゆかと2人きりになると、昨日のことを包み隠さず話せと迫られる。
自分でもどう話せばいいのかわからない部分も多かったが、保健室で先生の話を聞かなかったこと、もし聞いていたら、また気持ちが先生に戻ってしまうのではないかと怖くて聞けなかったこと、先生が怪我をしたと聞いて、話をしなきゃと思ったことをポツリポツリと話した。
「馬村はさ…優しいから。私甘えてたんだよね…。恋愛じゃなくても、ずっと側にいられるって思ってた。だから、馬村への気持ちが恋愛か友達か…全然分からなかったんだ。」
「馬村くんって、優しくなんかないわよ」
ゆゆかに言われて、えっ、と思いすずめが顔を上げると、珍しく真面目な顔をして続けた。
「あんただからでしょ?ハッキリしてるじゃない…好きな人にしか優しくしないなんて。それでも、少し前よりかは大分他の子にも優しくなったとは思うけど、あんたへの態度とは全然違うわよ。」
「そう…なのかな…?」
「悔しいから言わなかったけど、前に馬村くんとたまたま一緒に帰った時、ってか、あれは一緒に帰るとは言わないわ…。だってさっさと歩いて行っちゃって、ただの1度も振り返らなかったのよ!失礼過ぎるわ!」
その時のことを思い出して怒りがこみ上げてきたのか、手をギュッと握り力こぶを作って怒っている。
「歩くスピードも合わせてくれたり、ちょっと悩んでたりするとどうした?なんて、聞かれるのはあんただけよ」
ゆゆかにそう言われて、恥ずかしさと嬉しさがこみ上げてきて、そもそも友達に恋愛相談などあまり経験のないすずめは、その後何を話しても、しどろもどろになってしまった。

後日、馬村家へお土産を届けに行くと、本人不在の部屋に案内される。
「あの…お土産渡しに来ただけなんですけど…いいんですか?」
「大輝ももうすぐ帰ってくるし、与謝野さん居てくれたら喜ぶし…ね」と、馬村父に押し切られるまま、部屋に入る。
いいとこのお坊ちゃんは突然来ても部屋が綺麗なんだな…など考えて、部屋を見渡すと、勉強机の上に綺麗にラッピングされた小箱が置いてある。
(誰かからのプレゼント…かな?馬村何気にモテるしね…)
少し心にモヤモヤしたものを感じたが、本来小さいことを気にするタイプではない為、すぐに忘れた。
そうこうしていると、階下からバタバタと階段を駆け上がってくる音が聞こえた。
バタンと大きな音を立てて開けられたドアの向こうに、珍しく慌てた顔の馬村がいた。
「おまえは…来るなら来るって…連絡しろよ」
「だって、お土産父に渡しに来ただけだし…あ、喜んでない。」
「は?なに?」
「父が、大輝も喜ぶし〜って言ってたから居たのにな〜もう帰ろうかな…」
あまりの慌てっぷりに、ちょっと意地悪をしたくなって、馬村に背を向けるとペロッと舌を出す。
「ちょっ…俺もおまえに用事があったんだって!連絡なかったら、行き違いになるだろーが。」
よほど急いで帰ってきたのだろうか、まだはぁはぁと荒い呼吸をしていた。
「ほら…」
ポンと投げられたのは、机に置いてあった小箱。
「え…?何これ?」
「沖縄土産」
「一緒に行ったじゃん!」
「つーか、おまえだって親父にお土産渡しただろ。」
「あ、そっか…。じゃあこれおじさんに渡せばいいの?」
「おじさんに渡しても困るだろ…まあ開けてみろよ」
リボンを解いて、箱を開けると小さな花のモチーフが付いたシルバーのネックレスが入っていた。
「可愛い〜!ゆゆかちゃんに似合いそう」
そう言うすずめに馬村は思わずため息をつく。
「なんで猫田なんだよ…おまえにだろ。」
「だって、こんなに可愛いの…私に似合うかな…?」
「貸してみ…。」
すずめに後ろを向かせ、ネックレスを着ける。
「ありがとう。ど、どう?」
「いいんじゃん?」
作品名:in沖縄② 作家名:オダワラアキ