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コウノトリと七班

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ナルト「せんせー、赤んぼはどこからくんの?」

イルカ「ん?」

ナルト「俺んちの近所の人が、赤ん坊だいてたんだよ。俺、よくわかんなくてさ」

サクラ「バッカじゃないの?そんなの自分で考えなさいよ」

ナルト「考えてもわかんねーから聞いてんだってばよ。なぁ、せんせー」

イルカ「俺もどこから来るかは分からないんだ。
でも、コウノトリが運んで来るってことは知ってるぞ」

サクラ「はぁ?」

ナルト「コウノトリってなんだってばよ」

イルカ「鳥の一種らしいな。大きな風呂敷みたいなものをくわえて飛んでくるんだよ。
その中に赤ん坊がいるらしいぞ」

ナルト「へー、鳥かぁ」

イルカ「俺も実際に見たことはないけどな。なんかペリカンみたいなやつじゃなかったか?」

サクラ「知りませんよ。私にふらないで下さい」

ナルト「じゃー、俺も鳥に運ばれてきたのかな。不思議だってばよ」

イルカ「そうだな。それより、お前は今日は用事があるんじゃなかったのか?」

ナルト「あ!そういえば、そうだった!じゃ、俺帰るね。バイバイ!」

タタタッ

サクラ「あーあ、行っちゃった。本当にこれでよかったんですか?」

イルカ「ん?」

サクラ「コウノトリなんて、今日日流行りませんよってこと。ナルトが本当のバカだったから良かったけど」

イルカ「流行る流行らないの問題じゃないだろ。俺は事実を伝えたかっただけだ」

サクラ「……ん?」

イルカ「でも、本当に不思議だよな。コウノトリはどこから赤ん坊連れてくるんだ?」

サクラ「イルカ先生……」

イルカ「まぁ、不思議だから赤ん坊はかわいいんだろうな。それじゃ、俺も帰るよ」

サクラ「はいはい、さっさと帰ってください」

イルカ「冷たいな。じゃあ、サスケも。またな」

サスケ「フン……」

スタスタ

サクラ「行っちゃった。サスケ君……」

サスケ「知るか。俺にふるな」

サクラ「そうよねー。私もちょっと困ったわ」


ーーーーー


サクラ「っていうことが、昨日あったんですよ」

カカシ「へぇ、コウノトリねぇ」

ナルト「なんだよ、イルカ先生ってば嘘ついてたのか?」

カカシ「ま、嘘って決めつけるのもね。出産なんて不思議なことばっかりなんだから、別にいいんじゃないの?」

ナルト「なんかしっくりこないこと言うなー」

カカシ「まぁね、どこから来るかよりも誰のもとに来るのかっていう方が大事でしょ。コウノトリはお互いを好きだと思ってる二人のところにしか来ないのよ」

ナルト「ふーん。じゃあ、サクラちゃんが俺のことを好きだと思えばくんのか?」

カカシ「いや、それはねー。どうなの?」

サクラ「こっちみんな!ぶん殴りますよ」

カカシ「やーねぇ。ま、俺もちょっと説明を間違ったかな。二人がお互いを愛してないと、赤ん坊は産まれないよ」

ナルト「愛かぁ。それって、サクラちゃんのために死ねるとか、そういう覚悟のこと?」

サクラ「いちいち私の名前を出すな!」

ナルト「いってえ!」

カカシ「まぁ、覚悟はそれはそれでいいんだけどね。俺は愛っていうのは、相手と自分のために生きていく覚悟のことだと思うよ」

サクラ「へー、珍しくまともなこと言いますね」

カカシ「いや、俺の親父の受け売りだけどね。相手にあまり執着せず、それでいてちゃんと考えてあげること。ま、距離感が大切だってことだな」

ナルト「キョリカン?」

カカシ「相手も自分も幸せじゃなくちゃいけないってこと」

ナルト「うーん、ならやっぱり、サクラちゃんが幸せなら赤ん坊が産まれるってことだな」

サクラ「しゃーんなろー!」

ナルト「いってぇ!!」

サスケ「フン……バカが」

ナルト「うっせぇってばよ!なら、サスケはわかんのか?今カカシ先生が言ったこと」

サスケ「……俺にはまだ分からねーよ。でも、いつか……」

ナルト「は?」

サクラ「ねぇねぇ、そのいつかって私が隣にいたりする?するよね?」

サスケ「うるせぇぞ、知るか」

サクラ「知るか、かぁ。まだチャンスあるわね、よっしゃ!」

ナルト「サクラちゃんは俺の隣じゃなきゃダメだってばよ!」

サクラ「はぁ?ふざけないでよ。おことわりよ」

カカシ「だれか俺の隣にはいてくれないのか?サスケでもいいぞー」

サスケ「ふざけるな、ウスラトンカチが」

カカシ「あら、寂しい。ま、俺だって彼女の一人や二人くらい」

サクラ「いるんですか?」

カカシ「ノーコメント」

サクラ「あら、寂しい」

ナルト「たまになら、俺が隣にいてやるってばよ」

サスケ「フン……」

カカシ「お前らね……」


ーーーーー


星がちらちらと瞬く夜、サクラは窓辺で七班の写真を抱えていた。
部屋の中は月明かりで照らされて、静かに輝いている。
写真に涙が落ちた。


「幸せ、だったなぁ。みんなでいるのが。アンタもサスケ君もカカシ先生もいて、幸せだった」


でも、子供はいらないけどね。
しばらくは、七班のみんなで一緒にいたいから、私はそっと笑った。
いつか、四人で笑える日が来ると、そう願わずにはいられなかった。
作品名:コウノトリと七班 作家名:オータ