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銀新1「ちょっと悪い子志村くん」

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「やっぱり、ここだったか。」
自身が根城にしている国語準備室の部屋に入ると、先客に声をかけた。

「別に、良いじゃないですか。今日はバイトも無いし、金曜日だから先生の仕事が終われば、先生の家に泊まれますし」

ソファに座りながら、大きく息を吐き出すと共に、その口から紫煙が吐かれた。

「ったく、また吸ってんのかよ…。別に俺は気にしねぇけど、ねぇちゃんにばれたらぶっ飛ばされるだけじゃすまねーぞ?」
相手の隣に遠慮なく座ると、生徒が持って居たタバコを取り上げ、自身の口に含み、先ほどの生徒と同じように紫煙を吐き出し、あまり短くなってないそれを目の前の灰皿にに押し付けた。

「…別に、ばれなければ問題無いでしょ?僕だってソコは分かってますよ。」
ただ、いつからか…高校生になってからか…
濃い面子に囲まれ慌ただしい日々を過ごす毎日に、日直でも無いのに隣に座っている担任教師から毎日日誌の提出を求められ…疲れていたのかもしれない。

偶々、隣に座っている担任教師から手伝いを申しつけられ、会議があるから待っててくれと言われ、国語準備室に足を運び、暇を持て余し、机の引き出しを開けたのが始まりだった…。

今まで特に興味を示さなかった大人の嗜好品。
自分には縁の無いものだと思っていたのに…。
気が付いたら、それを手に取り、一本口にしていたのだ…。

「まさか、真面目で優等生眼鏡の志村弟がなー。タバコ吸うとは思わなかった」
同時に当時の事を思い出していたのか、急に教師が言い出した。

「僕だって、自分に驚きましたよ。自分がタバコを吸う日が来るなんて…でも1か月に1本は守ってるんで、それに、」
そこで言葉を切ると、姿勢を直し目の前の男に抱き着き、耳元で囁いた。
「足りなくなったら、先生が満たしてくれるんでしょ?」

「…そうだな、志村がもう『いっぱいです』ってなるまで満たしてやるよ」
ニヤンと不敵に微笑まれ、不意の笑顔に志村は自身の顔が赤くなるのを感じた。


--ああ、これで、今度は1か月以上はタバコに頼らなくてすみそうだ。