まさおくんのうろ覚え☆イース 1
ある晴れた午後のこと。
ある男が夕食のみそ汁にいれる貝や海藻やカニを拾うため、砂浜を練り歩いていた。
すると、砂浜に赤い生ごみが落ちているのを発見した。
よくみると、それは生ごみではなく、打ち上げられた赤毛の男の死体だった。
赤毛の死体を発見した男は、近所の港町の「魔物から町を守り隊」隊長のスラフという18歳の男だったので、この打ち上げられた死体を見て心を引き締めた。
もしこの死体が魔物に襲われたものだったら、墓のひとつやふたつ作ってあげねばなるまい。
もしそうでない死体なら、このまま放っておこう。
穴を掘るのがめんどくさいから!
スラフは、そこらに落ちていた木の枝を拾うと、死体をつっついてみた。
「うーむ。まだ新しい死体だな。腐敗はしてないし、死臭もない。魔物を襲われたような怪我もない。綺麗な死体だ。事故か、自殺か…まぁ、どちらにせよ、魔物に襲われて死んだのでなければ、このままにしておこう!」
そう言って立ち去ろうとしたスラフ。
その時!
がしっ!!!!
と、スラフの足首を死体がつかんだ!!!!
「きゃっ!!!ヤメテェェー!!!」
女の子のような声をあげるスラフ。
「お前…倒れた人間を介抱しないで、どこにいくつもりだ?!」
「あっ!!まだ生きてた!!!」
「まだ生きてるわっ!!悪いかっ!!!?」
そう言って、倒れていた赤毛の男は、ふらりと立ちあがった。
そして、意志の強そうな、真っ赤な瞳でスラフを睨んだ。
全身ずぶ濡れで、砂にまみれたその男は、真っ赤な髪の毛が、日の光を浴びて燃え立つように輝いていた。
顔も砂だらけだったが、綺麗な顔立ちは少しも損なわれていなかった。
それもそのはず、この赤毛の男は、のちに「好色一代男」として世に名を馳せることとなる、アドル=クリスティン16歳なのだ。
モテる男は、イケメンじゃないとね!!!!
その赤毛の男は、ふらりと1,2歩歩くと、そのまま砂浜に倒れこんでしまった。
「あっ!!!おいっ、大丈夫か?!」
スラフは男に駆け寄ったが、倒れた赤毛の男はそのまま意識を失ってしまったようで、ぴくりとも動かない。
「めんどくせーな。このまま置いてくか?砂でもかけておいて」
とも思ったが、そんなことをして化けて出られたら、夜トイレにもいけないくなってしまう。
そんなのは困る。
スラフは、ため息をつくと、赤毛の男を背負い、町へと帰った。
そして医者につれていくと、スラフはみそ汁の具を探すために浜辺に戻るのだった。
作品名:まさおくんのうろ覚え☆イース 1 作家名:masao