二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

さとりのグルメ 1日目

INDEX|1ページ/1ページ|

 
「食べることはすなわち、生きることである。」
私、古明地さとりの生涯のテーマだ。美味しいものを食べて生き、美味しいものを食べて死ぬ。それこそが私の理想の生涯だろう。
このテーマは私自身が考え出したもので、「さとりである以前に、妖怪である以前に、一つの生物として生きる」という崇高な意味を含んだものなのだが、以前お空に
「へー、さとり様って食いしん坊なんですね!」
と言われて以来、人前で口に出さないようになった。

 さて、そんな私だが日課がある。地霊殿の主として外に出ることが増えてきた最近、出先の美味しそうな店に入って食事をする、これだ。あらかじめ評判など聞いてはいけないし、大手チェーンだからといって避けるのも無しだ。ただただ直感と胃袋の赴くままに店を決める。そんな食生活を送っている。
 
そして、早速、だが今日のお店はどこにしようか。いい感じにお腹が減ってきた。お。
「…つけ麺専門店、ですか。」
へえ。噂には聞いたことがあったが、本当につけ麺の専門店があるとは。つけ麺か…
 …よし、スイッチが入った。今日はここで決まりだ。

 店内へ入る。席に着くとともにお冷が運ばれてくる。うん、美味しい。
「あの、さとり様ですか?」「え、あ、はい。そうです。」
早速バレた。いやはや、有名人は辛い。
「あ、すいません。その…珍しいですね、外で見かけるのは。」
むしろ最近はよく外に出ているが。まあ今までの数百年間、ほぼひきこもりだったのだからこれも致し方ないか。
「ふふっ、最近は外によく行くんですよ。…それはそうとして、ここのオススメはなんですか?」
「オススメですか?そーですねぇ、『塩つけ麺』ですかね。」
塩つけ麺?塩…?
 本来、つけ麺にはトンコツや味噌味が多い。それは当然、麺を「つける」のだからスープは濃いほうが良いに決まっているからだ。しかしそこであっさり系スープである塩とは…
 面白い。俄然興味がわいてきた。
「じゃあ、その塩つけ麺で。」
「かしこまりました!…塩一丁!」

「おまたせしましたー!塩つけ麺です!」
来たか。つけ麺というには少し細い麺、そして透明度の高いスープ。これは未知の世界と言えるだろう。「ではいただきます。」
一口目を口に運ぶ。うん、これは…美味い。
 いや、ホントに美味しい。さっぱりした塩のスープだがこれは…魚介?そうか、塩と魚介は合うのか。これが噂に聞いていた海の味というものだろうか。そしてこの細麺。普通のつけ麺なら太い麺と濃いスープががっしり絡み合うものだが、これは麺が細いからスープとの絡みも薄い。それでいてさっぱりした塩スープなもんだから、まるで蕎麦を食べているかのような心地よさがある。これは大当たりだ。

「いかがですか?」
ふと気が付くとこのメニューを勧めてくれた店員が立っていた。
「おいしいですよ、さっぱりしていて。」
「ありがとうございます。」
たしかに美味しい。しかし。足りない。
しかしまさか「でも少ないですね」なんて面と向かって言えるはずもない。私が言える言葉は…
「あ、替え玉お願いします。」

「で?さっぱりしていて食べやすかったと。3杯食べたと。夕食はいらない、と?」
苛々を表情と口調の端々にまでにじませながら今日の食事当番、おりんが愚痴る。
返す言葉もない。3倍食べたのは事実だ。だって
「食べることはすなわち生きること」だから。仕方ない。
やっぱり食いしん坊だ、と言いたげなお空はこの際無視をしよう。


一日目・完
作品名:さとりのグルメ 1日目 作家名:ParLinnA