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コゴエリ 嫉妬

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俺、名探偵毛利小五郎は、今日も行き先で起きた事件を無事解決(?)し、帰っているところだ。
いつもなら蘭やメガネ坊主も一緒に帰るんだが…今日は違う。
帰っている途中に鈴木財閥の御令嬢の、園子とか言う蘭の友達とたまたま会い、蘭とメガネ坊主は遊びに行っちまった。
仕方がないから一人で歩いて帰っているのだ。
今日の事件も、気づいたら俺が解決しちまってたな…やっぱり俺って天才かも♪
そんなことを考えながらふと横の路地裏を見てみたら、金持ちそうな男が、
薄いピンクのスーツを着こなし、ハイヒールを履いた女 を壁際に追いつめ、言い寄っていた。
こんなとこでイチャついてんじゃねーよ。と機嫌を悪くした俺は、その場を後にしようとした。が、そういう訳にはいかなくなった。
理由は簡単だ。
迫られてい女は、別居中の俺の妻 英理だったから。
何か考えるよりも先に、体は動いていた。 
俺は英理とその男の間に入った。英理は俺に何か言っていたようだが、俺は構わず「英理に何の用だ。」
と言った。
その男は少し驚いたような表情を見せたが、すぐにニコッと笑顔を俺に見せた。
「英理さんの旦那様は、あの有名な毛利小五郎さんだったのですか。」
男の発言に、英理が既婚者だと知っていたのに口説いていたのかと、俺はムッとして言い返した。
「ああ、そうだ。」
「あの名探偵は、こんな美人な奥様を10年も放っておいていたんですか。これは驚いた。」
その一言で俺は堪えられなくなり、「お前には関係ないことだろ!」と叫んでしまった。
しかし男はこう続けた。
「英理さんは、僕がもらいます。」
俺は数秒間、言葉の意味が理解できなかった。
−こいつ今、なんて言った?−

「まぁ、今日のところは諦めて帰りますよ。」
男はそれだけ言うと、停まっていた車に乗り、去っていった。
「誰だよ、あの男!」
「仕事で知り合った神崎さんよ。」
「じゃあ何で、二人でこんなとこに居たんだよ!」と乱暴に聞くと、英理は仕事の事で話があると言われ、よく待ち合わせで使われるような銅像の前に呼ばれ、 ここでは何だからと場所を変えようと歩いていたところ、急に手を引かれ、路地裏に連れられたのだと言った。
「こんなこと、よくあったのかよ。」そう聞くと、
英理は「神崎さんからは初めてよ。」と言い、後からしまった。という風に口に手を当てた。
「神崎さんからは…?」
俺がそう言うと、英理は黙って俯いた。
そうか。英理は、よくこんな風に男に言い寄られているのか。そう思うと、自分が情けなく思えてくる。
確かに、英理はモテる。そんな言葉じゃ足りないくらいに。
でも、改めてさっきのような現場を見せられると、不安になった。




「・・・で?」
「・・・あぁ?」
「あなたは何をしていたの?こんなところにひとりでいるなんて。」
そんな英理の質問に俺は少しからかってやろうと「いや、きれーなねーちゃんがナンパされてたからよ。助けてやろーと思ったんだよ。」なんて言った。
すると、「なに、言ってるのよ。バカ・・・」
英理はそう一言残し、人混みの中に消えて行った。


「何だよ...英理のやつ」




数日後
俺は今、久しぶりに蘭にはめられて英理と二人っきりでレストランにいる。
「...まんまとだまされたな」
「そうみたいね。」
「おい、そ、その...」
「何よ。」
「あれから、あいつには...会ったのか?」
「...あなたには関係ないでしょ」
「関係なくなんか...「あいつって、僕のことですか?」
「お、お前は...!」
「か、神崎さん」
「英理さん、こんばんは。」
やつはニコッと柔らかい表情で英理にそう言うと、俺を挑戦的な目で睨み、今度は俺に向かって
「今日はお二人ですか?英理さんはあまり楽しそうではないようですが...」
「お、俺だって楽しくなんかねえよ。」
「そうですか。では帰ってもいいですよ。英理さんは僕がしっかり家まで送りますので。」
「ごめんなさいね、神崎さん。今日は私、この人と話がしたいの。」
「そうですか。それは残念です。では、また。」
そう言って神崎はやけにあっさりと引き下がり、帰って行った。

作品名:コゴエリ 嫉妬 作家名:チィク