主人公惣受け物語~アニポケ・カントー編~
ハルカ「ふふふ、カスミらしい理由かも」
カスミは、ハルカ、ヒカリ、ノゾミが出場したミクリカップをテレビ越しで観戦していたようだ。しかも、その中継を録画し何度も確認したのに加えてミクリカップ関連の特集番組も欠かさず視聴していた。水中ショーでのパフォーマンスの参考資料にするのはもちろん、コンテストマスターでさらにカスミの水ポケモン使いの大先輩ともいえるミクリ主催のこの大会をカスミが見逃す手立ては微塵もない。
カスミ「あたしは今からリハーサルに取り掛かるわ。ただ、リハーサルだからそこまで本格的にはならないけれど、みんなの期待に応えられるようなものにするわ」
ハルカ「うん。でもあまり無理しないでね」
ノゾミ「ここまでであたし達がかなりプレッシャー掛けているけれど、本番前に身体を壊したら元の子もないからね。」
カスミ「心配しなくても、自分の体調管理はしっかりしているわ。だから、ダイジョーブ!」
ヒカリ「あっ、それあたしの…って、今はいいか」
カスミはウィンクをしながら、ヒカリの受け売りともいえる『ダイジョーブ!』の言葉を言う。この『ダイジョーブ!』は言葉の意味とは正反対にヒカリが大丈夫でないときにヒカリ本人から発せられる言葉ではあるが、実はこの言葉にはしょっちゅう助けられている場面もあり、そう簡単には切り捨てられない。ノゾミとの出会いという思わぬ場面もあったが、順調に水中ショーのリハーサルは進んでいる模様だ。一方、ハナダ岬にてバトルの特訓をすることとなったサトシとアイリスとベル、そしてその補助でサトシ達に同行しているタケシとデントはと言うと…
アイリス「キバゴ、行くわよ!」
キバゴ「キィバァ!」
ベル「シュバルゴ、あなたも行くわよ!」
シュバルゴ「シュバァルゴォ!」
只今、アイリスとベルが実戦形式のトレーニングを行っており、サトシはタケシ、デント、ピカチュウとともに休憩もかねて見学中である。ちなみに、ここハナダ岬はカントー随一のデートスポットとして、朝方や夕方にて多くのカップルが訪れることで有名である。一方で日中はジム戦に挑戦する多くのトレーナーがここを特訓場所として使っており、トレーニングスポットとしても非常に重宝されている。
サトシ「アイリスもベルも、しばらく見ないうちに強くなってるんだなぁ」
ピカチュウ「ピィカァ…」
デント「サトシとの旅を終えてから、サンヨウジムによく来てはバトルの特訓をしていたからね。ラングレーも来たときは、僕たち三兄弟もトリプルバトルやローテーションバトルにも協力したよ」
タケシ「俺はまだあの2人の事をあまり把握はしていないが、自分たちの目標のために頑張っているんだな。これはサトシも負けてられないぞ」
サトシ「あぁ、もちろんだとも。よし、このバトルが終わったらどちらかとバトルするぞ」
サトシは自身と別れた以降のアイリスとベルのたゆまぬ努力を知り、自分もまけていられないと闘志を燃やす。すると、その時だった。
???「なんだか楽しそうね。あたしも混ぜてくれないかしら?」
サトシ「?」
アイリス・ベル「「? 誰?」」
何者かが、サトシ達の会話に割って入ってきた。実戦形式のトレーニングの模様を観戦していたサトシ達はもとい、トレーニングに集中して取り組んでいたアイリスとベルも思わず声のした方へ向く。
???「久しぶりね、サトシ君」
サトシ「スズナさん!」
サトシ達に声を掛けてきたのは、ノゾミとともにキッサキシティを旅立ったスズナであった。スズナは自ら、サトシ達の方へと近づく。アイリスとベルもそれと同時に、バトルを中断してサトシ達の方へと近づく。そしてスズナはサトシとタケシ以外の面々に、自分がジムリーダーであることを告げる。
スズナ「まず、このコ達のバトルの邪魔しちゃってゴメンね。バトルの様子を見ていたら、つい声を掛けたくなっちゃって。」
アイリス「いえいえ」
デント「それに僕やカスミのように、他のジムリーダーに偶然にも出会えるなんて光栄ですよ」
スズナ「? ということはあなたもジムリーダー?」
デント「えぇ、イッシュ地方のサンヨウシティでジムを構えています」
その後も話は盛り上がっていき、次に話題はスズナがカントーに来た経緯へと移る。
サトシ「へぇ〜、ノゾミも一緒なんですね」
スズナ「多分、今はハナダジムにいるんじゃないかしら?」
タケシ「それなら、カスミ達とはもう会っているかもしれないな」
ノゾミもハナダシティにいることを知り、ノゾミに会いたくなってきたサトシ達。ちなみに、アイリス、ベル、デントはノゾミの事をハルカやヒカリから聞いている。
スズナ「ところで、さっきトレーニングの邪魔しちゃったお詫びにあたしも一緒にトレーニングしてもいいかしら? とは言っても、あたしも『ワールド・チャンピオン・リーグ』に向けて頑張らなきゃいけないから、トレーニング相手を探していたんだけどね」
サトシ「そういうことなら、構いませんよ。俺たちもスズナさんと同じ身ですから」
アイリス「えぇ。カスミやデントもだけど、ジムリーダーとトレーニングが出来るのはかなり貴重な経験になるわ。こちらこそ、お願いします。」
ベル「あたしも是非」
スズナ「それじゃあ、決まりね」
こうして、スズナも混ぜてサトシ達はトレーニングをすることとなった。その後の話し合いで、アイリスとベル、スズナとサトシがタッグを組んでタッグバトルをすることも決まった。サトシ達バトル組も、難なく進んでいるようだ。そんな中、ハナダシティから少し離れた場所にて、不穏な動きがあった。
???「準備はいいね」
???「あぁ、今のところ順調に進んでいる。俺たちの変装も、連中にはバレていないようだ」
???「今回のプロジェクトが成功すれば、我々の勢力拡大に大きくつながるわ」
???「そして、俺たち2人の株も上がってやがては幹部に昇進」
???「ますます、今回のプロジェクトは成功させないとね」
一人は女、もう一人は男による会話がなされていた。会話の内容からして何かを企んでいるようだが、その件に関してはまた次回以降。
続く…
後書き
次回、ハナダシティにて何かが起こる!?
作品名:主人公惣受け物語~アニポケ・カントー編~ 作家名:天の河