主人公惣受け物語~アニポケ・カントー編~
第39話『屈しない根性』
前書き
凍えるバトルフィールドで苦戦を強いられるサトシとアイリス。
次に出すポケモンは…
ミジュマル、ケーシィが戦闘不能になり、まともに与えた攻撃はその2体の連携によるユキノオーへのダメージのみという展開。窮地に立たされるサトシとアイリスであったが、二人の目には諦めの気持ちは微塵も感じられない。
サトシ「ピカチュウ、今この状況を打開できるのはお前だけだ。行ってくれるか?」
ピカチュウ「ピカァ!」
サトシは次のポケモンにピカチュウを指名。久々の本格的な実戦ともあって、気合十分にバトルフィールドに立つ。
アイリス「このバトル、全てをあなたに賭けるわ。出てらっしゃい、ドリュウズ!」
ポォォォォォン!
ドリュウズ「ドォォォリュウズ!」
一方のアイリスは、主力ポケモンのうちの一体であるドリュウズを指名。アイリスの手から放たれたモンスターボールから、勢いよく飛び出してきた。ちなみに、アイリスの手持ちにはエース級のドラゴンポケモンのカイリューがいるが、天候が‘あられ’の中でドラゴン・飛行タイプのカイリューを出すのは不適切である。
カトリーナ(あれは、いつもサトシ様と一緒にいるピカチュウ。以前から聞いた評判通りでしたら有利な状況とはいえ、侮れませんわ)
ハンナ(それに、アイリスさんのあのドリュウズ。どうやら、彼女の主力ポケモンとして愛用しているようね)
ピカチュウとドリュウズがバトルフィールドに登場した瞬間、カトリーナとハンナはこの二体相手に油断はできないと直感し、悟る。サトシとピカチュウの抜群の関係は、サトシファンクラブが存在するポケヴェール女学院内でも周知の事実となっているようだ。
サトシ「ピカチュウ、でんこうせっか!」
ピカチュウ「ピカァ、ピカピカピカ、ピカァ!」
ピカチュウは‘でんこうせっか’でユキノオーに近づきつつ、縦横無尽に動きながらユキノオーを撹乱させる。極寒の‘あられ’の中とはいえ、俊敏な動きを見せるピカチュウ。さすが、サトシがトレーナーになりたての頃から様々な気候の地を渡り歩き、幾多ものポケモンバトルを経験してきた百戦錬磨のポケモンである。しばらく本格的な実戦から離れていたとは微塵も感じない。
サトシ「いけ、ピカチュウ! ユキノオーにアイアンテール!」
ピカチュウ「ピカァ! ピィィィィィカァァァァァ!」
ユキノオーの背後に回ったピカチュウは、‘アイアンテール’を繰り出す。だが、
ハンナ「受け止めなさい、ユキノオー!」
ユキノオー「ユキ! ユキィ!」
ユキノオーはクルッと一回転して自らの視界にピカチュウを捉えた後、両手を使って「真剣白羽取り」の要領で‘アイアンテール’を受け止めたのだ。
ハンナ「そのまま、ピカチュウを投げ飛ばして!」
ユキノオー「ユゥゥゥキィィィノォォォォォ!」
ピカチュウ「ピカァ!」
サトシ「ピカチュウ!」
ユキノオーに掴まれたピカチュウは、そのまま投げ飛ばされる。
ピカチュウ「ピッカァ! ピカピカ」
ピカチュウはすぐに体勢を立て直し、自らの顔に付いた雪を振り落す。
ユキカブリ「ユッキィ!」
ピカチュウ「ピカ!?」
その間にユキカブリがピカチュウの背後を取り、いつでもピカチュウを攻撃できる態勢を整える。
カトリーナ「今です! ユキカブリ、タネマシンガン!」
ユキカブリ「ユゥ、キキキキキキキキキキィ!」
そのままユキカブリは‘タネマシンガン’を放って、ピカチュウに攻撃を仕掛ける。
ドリュウズ「ドォォォリュウズ!」
カトリーナ「な、何ですの!?」
アイリス「ドリュウズ! メタルクローで受け止めて!」
ドリュウズ「ドリュウ! ドリュリュリュリュリュウ!」
ピカチュウが絶体絶命といった状況で、ピカチュウとユキカブリの間に地中からドリュウズが出現。ドリュウズは地中から姿を現すとすぐに‘メタルクロー’で‘タネマシンガン’を弾いて受け止める。
アイリス「いっけぇ! ドリュウズ、ドリルライナー!」
ドリュウズ「ドォォォリュウ! ドォォォリュウウウウウ!」
ユキカブリ「ユッキィ!」
さらにドリュウズは‘ドリルライナー’の構えを取り、そのままユキカブリへと突撃。ユキカブリは回避することが出来ずに直撃を喰らってしまう。
アイリス「そこから、ユキカブリを投げ飛ばしちゃって!」
ドリュウズ「ドォォォリュウ!」
ユキカブリ「ユッキィィィィィ!」
またさらに、ドリュウズは空中でユキカブリを掴んで地上に向けて投げ飛ばす。
ユキノオー「ユキィ!?」
投げ飛ばされた先にはユキノオーがいて、ユキノオーは辛うじてユキカブリを受け止めたものの、
サトシ「今だ! ピカチュウ、エレキボール!」
アイリス「ドリュウズ、きあいだま!」
ピカチュウ「ピカァ! ピカピカピカ、ピカァァァァァ!」
ドリュウズ「ドリュドリュ! ドォォォォォリュウウウウウズ!」
ピカチュウの‘エレキボール’、そしてドリュウズの‘きあいだま’が、現在お互いにぶつかって蹲っているユキノオーとユキカブリに向かっていく。
ユキノオー・ユキカブリ「「ユキィィィィィ!」」
そのまま、ユキノオーとユキカブリは二つの攻撃の直撃を受け、大ダメージを喰らう。
ユキノオー「ユキィ…」
ユキカブリ「カッブゥ…」
アリア「ユキノオー、ユキカブリ、ともに戦闘不能! ピカチュウ、ドリュウズの勝ち!」
ユキノオー、ユキカブリに戦闘不能の宣告がなされる。ピカチュウとドリュウズの巧みでスピード重視の連携で、2対2の同点に持ち込ませたサトシとアイリス。
ハンナ「これは油断したわ。ピカチュウとドリュウズ、思ったよりも俊敏な動きをするのね…」
カトリーナ「えぇ。思った通り、ピカチュウはサトシ様の、ドリュウズはアイリス様のエース級のポケモンと言っても過言ではありませんわ」
学院一の実力で世界的に名高いタッグコンビでさえ、ここまで苦戦するのだ。サトシのピカチュウとアイリスのドリュウズは、バトル慣れしているだけでは言い表せない好戦的なポケモンと言えよう。
ハンナ「彼らが自慢のポケモンを出したのだから、私達もそれに応えなければいけないわね」
カトリーナ「そのためには、このコ達が適任ですわね」
ピカチュウとドリュウズの戦いぶりをみて、さらに熱が入った様子のハンナとカトリーナ。彼女たちは、サトシとアイリス同様、自慢のエース級のポケモンを投入するようだ。
ハンナ「スピーディなバトルなら、この子も負けないわ! マニューラ、ゴー!」
カトリーナ「このポケモンバトル、全てをあなたに賭けます! バイバニラ!」
マニューラ「マニューラ!」
バイバニラ「バイバニィ!」
作品名:主人公惣受け物語~アニポケ・カントー編~ 作家名:天の河