主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~
第30話『海風香る港町へ』
前書き
この話で、エンジュシティ編は終わりです。
序盤にちょっとしたサトヒカの会話有り。
サトシ「にしても、サクラも頑張っているなぁ。今日のバトルなんか、エリカさんとあれだけの熱戦を繰り広げるなんて…」
ヒカリ「サトシも負けていられないんじゃない?」
サトシ「あぁ、今まで出会ってきたライバル達も俺やケンタに負けないように頑張っているんだし、俺達もこれからどんどん実力を伸ばしていかないと!」
ピカチュウ「ピカピカァ!」
ポッチャマ「ポチャ!」
女性陣が露天風呂から帰ってきて各人寝静まった夜のこと。未だ眠気の起きないサトシとヒカリは歌舞練場の裏庭へと出て、今日のバトルイベントについて話していた。それぞれのパートナーポケモンのピカチュウとポッチャマも二人に同行している。本日のサクラとエリカとのポケモンバトルは、当然三度の飯よりバトルが好きなサトシのバトル魂にも響いており、さらなる飛躍を誓っていた。
サトシ「凄いトレーナーだったパパに追いつき追い越せるような実力にはまだほど遠いけれど、いつかはそんな風になれるようやってみせるぜ!」
ヒカリ「この間話していたサトシのパパさんのことね。そういえば、サトシのパパさんもそうだけどあたしのパパは今頃どうしているのかしらね?」
サトシ「さぁな。でも、二人ともきっとどこかで元気にやっていると思うぜ」
ヒカリ「えぇ。ひょっとしたら、サトシとパパさんとあたしのパパは今二人で一緒に放浪の旅をしている…なんてね♪」
サトシ「まさかぁ。でもそんなことになったらスゲェことだよな。世界に名を馳せたトレーナーとトップコーディネーターが二人一緒にいるなんてことだったら」
ヒカリ「ふふふ、確かに」
サトシとヒカリは、ジョウトへ旅立つ前に話し合っていた自分達の父親について率直に思ったことを話す。本作ではサトシの父親とヒカリの父親の素性についてはまだ判明していない為どうなるかは不明だが、サトシとヒカリが話しているようなことが事実だとすればまさに夢のような話である。
ヒカリ「あたしね、ひょっとしたらこの先旅を続けていたら途中でばったり出会うんじゃないかって思っているの」
サトシ「ヒカリもか!? 実は俺も何となくそう思っていたんだ」
ヒカリ「えっ、嘘!? あたし、サトシと同じこと思っていたなんて。でも、実際にそうなると嬉しいね」
サトシ「そうだな」
ピカチュウ「ピカピカ」
ポッチャマ「ポチャア?」
サトシとヒカリはいつの日になるか分からないが、自分達の父親との再会に少しばかり胸を躍らせていた。その後もしばらく談笑した後、軽めにハイタッチを交わして歌舞練場の建物の中へと入っていった。そして翌朝…
ヒカリ「ノゾミとスズナさんは先にここを後にしたんだ」
サクラ「えぇ、二人はいかりのみずうみで特訓をするそうで朝早くここを出て、東の長治タウンの方に向かっていったわ」
マリナ「ノゾミもスズナさんも先手を打つのが速いわね。わたし達も負けてられないわ」
ノゾミとスズナはサトシ達より一足早く歌舞練場を後にして、いかりの湖にてそれぞれの特訓に励むとのこと。一歩先を行くノゾミとスズナの姿勢に、サトシ達は感心しつつ更なる研鑽に励むことを誓う。
カスミ「エリカさんはもうタマムシに戻られるんですね」
エリカ「えぇ、ジムの皆様のこともありますので。短い間でしたが、皆様ととても楽しい時間を過ごすことが出来ました。改めまして、御礼申し上げますわ」
サクラ「御礼だなんて、でもわたし達も楽しいひと時を過ごすことが出来ました」
ヒカリ「昨晩の露天風呂でのひと時も、いろんなお話ができて楽しかったです」
同じく一夜を歌舞練場で過ごしたエリカは、タマムシシティに戻るための帰り支度の最中だった。エリカは一旦手を止めて、エンジュシティで充実した時間を過ごせたことにサトシ達に対して感謝の意を表する。
???「朝早く失礼します」
サツキ「あら? ジュンサーさん、こんなに朝早くから一体どうされたのですか?」
各人それぞれの時間を過ごしているところへ、タマムシシティ警察所属のジュンサーが歌舞練場を訪れる。
ジュンサー「ここ最近、女性の入浴時間を狙った盗撮事件が頻発しておりますので、その注意喚起に来ました」
サツキ「まぁ、わざわざご苦労様です。そういえば、私の友人も前に被害があったって言っていたわね」
サクラ「お姉ちゃん、それ出来れば早く言って欲しかった…」
ジュンサーによれば、エンジュシティ近辺にて女性の入浴を狙った盗撮事件が多発している。さらに、サツキの友人が既に被害に遭っているとのことである。昨晩大人数で露天風呂に入ったサクラは、このことを早く伝えてほしかったとぼやく。
マリナ「やだ、盗撮だなんて怖いわ」
アイリス「ホント! 女性の裸を覗き見した上に盗撮だなんて最低ね!」
盗撮の件について聞いた女性陣は、皆一様に怒りを露わにする。とは言え、‘時すでに遅し’と言ったほうが良いのか、昨晩の女性陣の入浴姿はバッチリ撮られていたのである。当然、この事実について彼女達はまだ知らない。
サトシ「物凄い殺気立っているな…」
デント「ま、まぁ、気持ちは分からなくもないけれど…」
ケンタ「あまり近づきたくないなぁ…」
ピカチュウ「ピカァ…」
ポッチャマ「ポ、ポチャポチャ…」
球に殺気立った女性陣に、ただたじろぐだけのサトシ、デント、ケンタ、そしてピカチュウとポッチャマ。ポッチャマはヒカリから感じ取った殺気より、身の危険(?)を察知してサトシ達のところへ避難している。
ジュンサー「ということですので、入浴される際には十分に注意されるようお願いします。あっ、最後にサクラさんとエリカさん、昨日のバトルイベントお疲れ様でした」
サクラ「あっ、ありがとうございます」
エリカ「ジュンサーさんにまでお声を掛けられるなんて、光栄ですわ」
ジュンサーは、再度盗撮について注意喚起を促すとともに、昨日のバトルイベントで熱闘を繰り広げたサクラとエリカを労い、巡回へと戻っていった。
エリカ「それでは、皆様私もこの辺でタマムシシティに戻ります」
サクラ「昨日はありがとうございました」
カスミ「また今度、お会いしましょう」
エリカ「わたくしこそ、またお会いできる日を心待ちにしております。あとそれと…」
エリカはタマムシシティに戻る直前、サトシLOVEズのもとに近づき、
エリカ(サトシさんのことは、あなた方に負けられませんわ♪)
サトシLOVEズ「「「「「「!?」」」」」」
耳打ちで、サトシ争奪戦の宣戦布告を行った。そして、エリカはタマムシシティへと戻っていった。
サクラ「で、これからどうするの?」
サトシ「さっきみんなと話し合って、これからアサギシティの方へ行こうと思うんだけれど…」
作品名:主人公惣受け物語~アニポケ・ジョウト編~ 作家名:天の河