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はろ☆どき
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永遠のたそがれーprologueー【スパーク10発行】

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※抜粋※


「――はっ……はっ……」
 月明かりのない夜に、金髪に金目の少年が一人道を駆けるように急いでいた。
 少年――エドワードはの髪は長く見事な黄金色で、三つ編みに結わえてはいたが暗い夜道でもよく映えている。普通なら人に見咎められぬよう、フードでも被って目立たぬようにしているところだ。
 そんなことを考える間も与えられず、追い立てられるようにして家を飛び出してきてしまった。継母から頼まれて村の外れにある薬を扱う店を目指しているのだ。
 だが路地には人っこ一人いない。今夜は『狩人の夜』だから当然だ。まともな神経の持ち主ならば、こんな日には太陽がすっかり沈んだ今時分になど家の外へ出たりしない。
 しかし、弟のアルフォンスが急病で枕から頭を上げることもままならず、一刻も早く薬を飲ませなければ命が危ういのだと懇願されては自分に否やと言えるはずがなかった。
 弟は身体が弱くてしょっちゅう寝込んでいる。昨日は元気で言葉も交わしたけれど、今日になって急に体調を崩して起き上がることもできないのだと言われても不思議ではない。
 例え今日は朝からずっと、不自然に一度もその姿を見ることができていなかったとしても。
 アルフォンスは腹違いの弟だが、自分にとってたった一人のかけがえのない家族なのだから。


******


「つれないな……。名前が分からないと話し掛けづらいと思わないかね。これから長い付き合いになるかもしれないというのに――君にとってはだがね」
 芝居掛かってはいるものの丁重に接してくる相手に対して、エドワードの態度は無礼とも言えるだろう。だが貴族である男は気分を害した風もなく、しかしいかにも残念だというように溜め息混じりで呟いた。
 その内容に何だか理解のできない言葉が入っている気がしたが、エドワードには深く考えている余裕はなかった。
「あんたと話すことなんてないし、そんな暇はない。オレは急いでるんだ。邪魔しないでくれ」
 エドワードはこの状況から脱するために、全神経を尖らせて男の隙を窺っていた。 恐らくこの空間はあの男が造り出しているのだから、彼の体勢を崩せば、或いは気を逸らすことができれば、チャンスが生まれるかもしれない。
「せっかく稀有な金色を持った少年と話ができたというのに、嫌われては敵わないな。では君の邪魔はするまい。だが、無粋な妖魔が我々のことを盗み見ないよう追い払うのは構わないだろう?」
 男が片手を上げて指をぱちりと鳴らすと、周辺でばちばちっという音と共に獣の唸りのような声が聞こえ、四方へ去っていく足音や羽音がした。


※完全パラレル設定です※