愛と美
僕はよく女の子に間違われる。
髪は長いし華奢だし声は変わりきってないし。中学生男子である僕にとって、甚大なるコンプレックスである。
「髪、切ろうかなあ」
長く伸びた髪の先を摘まんでみる。
そういえば、風丸くんも髪長かったよね。だけど彼はさほど女の子扱いされないよね。なんでだろう?
「……知るかよ」
思い切って風丸くんに訊いてみたのに邪険にされた。ひどい。
「強いて言うなら、口調じゃないか? お前の口調は割と丁寧だし、一人称も僕だし。その辺変えたらいいんじゃないか」
さすが風丸くん、雷門の裏のキャプテン! とあからさまに誉めてみると、風丸くんは「……その二つ名、今思い出しただろ」と眉間に皺を寄せながら言って、どこかへ行ってしまった。ばれた。
でもまあわかった。口調だよ、口調をどうにかすればいいんだね、さっそく試してみよう!
ちょうどその時、おーい、と円堂くんに呼ばれた。今だ!
「おう円堂、なんなんだぜ?」
……そう言ったら、円堂くん、お腹を抱えて笑い出した。なんでだろ。