矛盾
俺は初めて人を殺した
シズちゃんの弟を、シズちゃんと関わったあらゆる人々を
そして、シズちゃん自身を
「臨也、手前・・・っ!マジでゼッテェぶっ殺す・・・!」
「シズちゃんが、俺を?冗談言わないでくれる!」
さっき交わされたばかりの、いつもの口論
それが、シズちゃんと俺がまともに交わした、最後のコトバ
シズちゃんのことは大嫌いだった。死んで欲しいと心の底から思っていた
けれど、これは俺の望んだ現実じゃなくて・・・
「シズちゃん、もっと俺を楽しませてよ」
もっと苦しそうな顔見せてよ
苦しみに歪むシズちゃんの顔、俺とっても好きなんだから
「シズちゃん、さっき自分で言ってたよね?俺を絶対ぶっ殺すってさ。あれ何、嘘だったの?」
「弟やみんなを殺した俺のこと、許せないんでしょ?恨んでるんでしょ?だったらさぁ・・・やることは1つじゃないの?」
またさっきみたいに、自販機でも投げればいい
そんなことじゃ俺は殺せないけどさ
「シズちゃん・・・何か言いなよ。ねえ!」
なんで目を開けないの?
なんで動かないの?
死んだフリ、してるの?
明日になったら、また俺を楽しませてくれる?
なんで何も喋らないのさ
いつもゴキブリみたいにしぶとく生きてるクセに
「シズちゃんなんて大嫌い・・・殺したいくらいに」
ああ、それなのに・・・
なんでこんなに、涙が出てくるんだよ
・・・シズちゃんなんて大嫌い
だけど・・・
(大好きだよ。世界中の誰よりも)