君のせい その2
2人は学校から帰りながらも
ずっと無言で歩いていた。
沈黙が、こそばゆかったり、
心地よかったり、
落ち着かなかったり。
「なぁ、」「あのさ、」
「「……」」
2人同時に話し始めて、
気まずさからまたしばらく沈黙が訪れる。
「なんだよ。」
「や、馬村からどうぞ。」
「気になんだろ。言えよ。」
「いやいや、どうぞ、どうぞ。」
「お前はダチョ〇〇楽部かよ。
そんな言い方されたら
じゃあ、って言えねーだろ。」
「ふっ…」
すずめの顔がフワッとゆるんだ。
「何笑ってんだよ。」
そう言いながらも、すずめのその顔で
自分の顔もゆるんでしまう。
「や、馬村がじゃあオレが、って言うの
想像してしまった。」
「そういう想像やめろ。バカ。」
こつん、と小突かれたが痛くはない。
「ふふ。」
「なんだよ、さっきから。気持ち悪ぃな。」
「や…なんか嬉しいなぁと思いまして…」
「だから何が。」
「馬村と一緒にいるのが。」
「っ…///」
また馬村の顔が赤くなる。
「お前は恥ずかしげもなく
よくそういうことが言えるな。」
「えっなんで?」
「……なんでって…」
「だって馬村が悪いんじゃん。」
「は?何がだよ。」
「……」
すずめは口を開いて言い返そうとしたが
思い直した。
「…やっぱり言わない。」
「は?意味わかんね。言えよ。」
馬村はすずめの頬を軽くつねって
言いかけた言葉の催促をした。
「イタタ。だって言うなって言ったじゃん。
だからもう言わない。」
すずめの頬がぷくぅっと膨らんでいた。
「っ~~~///」
馬村は、すずめの手を引いて
あまり人が通らない公園の木陰へと
歩いた。
「ここでなら言っていいから。」
「えっなんで?」
「他に誰もいないから。
ていうか言って欲しい。」
「誰もいなければいいの?」
「やなんだよ。」
「?何が?」
「オレがお前にデレデレしてんの
他のヤツに見られんのが。」
「えっ、してるかな?」
「してんだよ。そうなるんだよ!」
「私だってそうなるよ?」
「は?」
「馬村と想い通じたのが嬉しいから
しょーがないじゃん!
浮かれちゃうもん。馬村が悪いんだよ!」
「っ…なんだそれ///」
バッと馬村はすずめを抱き寄せて
自分の唇をすずめのそれに重ねた。
「んっ」
唇を離し、お互いのおでこをつけて見つめ合うと、
馬村はやっぱり真っ赤だった。
「馬村、真っ赤だね。」
「だから言ったろ。」
「オレのほうが浮かれてるわ。
……マジでダセエな。」
「てゆーかお前も赤いからな?」
「えっ。」
お互いに目を合わせてフッと笑いあった。
「と、とりあえず2人の時以外で
浮かれないよう気をつけるよ!」
ビシィッと敬礼体勢で
すずめは変な宣言をした。
「フ…バーカ。」
馬村は笑って
2人はまた家に向かって歩き出した。
落ち着くまでには
しばらくかかりそうな2人だった。