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星空に変わるとき

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今日の江戸、歌舞伎町は数日ぶりに曇り空を迎える。

何時ものように、万事屋には銀さんこと坂田銀時とツッコミおよび、世話係のような役回りの、志村新八がボーッと天井を眺めている。そして、もう1人、オレンジがかった、赤髪で青い目をした少女の姿が在るはずなのだが、

どういうわけが、その場に居るのは、その2人だけである。
ふいに銀時が言葉を漏らす

「神楽のやつ、どこ行ったんだ?」

それに応え、新八は

「さっき散歩してくるって言ってましたよ」
あっそ、とでも言い出しそうな態度の銀時。

また、2人はボーッと何かを考える。それは、恐らく数日前までの、吉原での戦いを思い出しているのだろう。








外は、案の定鉛色の空色が広がっている。

今にも降りだしそうな色だ。その空の下1人の少女が傘を片手に、ぶらぶらと宛もなくさ迷っていた。

そして公園のベンチに腰を掛け、足元をちょろちょろと駆け巡るアリを見つめる。彼女もまた、吉原での戦いを思い出している、いや、悔やんでいるのだろうか。

普段の彼女には似合わないその表情は、何かを思い詰めているとしか考えられないほどなのだから、傘を差していたのだから、回りはほとんど視界に入らない。

けれども気がつくと、何者かの影が自分の目の前に現れていた。何時もなら近づいてきたその瞬間に、気が付くのだが、それほどまでに、自分自身が思い詰めていたのか、それともその相手が、それほどに気配を消し、近付くことができる手練れなのか。

少女、神楽は不意に在る人物を思い浮かべる。


己と同じ髪の色で、同じ目のいろで、全く違う信念の元、全く違う生き方をしている、吉原で再会した、兄の姿を.......................その姿を想像した瞬間、体が強ばり、全身に震えがはしる。

恐る恐る、傘の下から見上げるようにその人物を見る。そこにいたのは











想像していた人物ではなかった。全く別のしかし、何処か良く似ている。真選組の沖田総悟であった。
「おい、そこのチャイナ娘。そこは俺の休憩所だ。のきなせぃ」

何時ものように、憎たらしい表情で神楽を見つめる沖田、そしてここで2人は言い合いになり、喧嘩になるのだが、神楽がそれを拒んだ。

沖田の顔を見て、いつもの台詞を聞くなり、また、俯く。内心、兄でないことに、ホッとしたのだが、今なぜこの男が自分の前に居るのかという疑問。

そして今の自分は、どうしてもこの男と兄を重ねてしまうのだ。堪えようと思っていたものが、溢れそうになる。何時もと違った態度の神楽に、少し動揺した沖田であったが、何かをを思い付いたのか、黙って神楽を引っ張り、走り出した。行きなりのとに神楽は驚いた。

「な、なにするネ!離すヨロシ!!」

けれど、沖田は聞かない。少しずつ、夕方に近づいてきた頃だった。








どのくらい走ったのか、やっとついた頃には、2人とも、息を切らせていた。ふと、神楽が空を見上げる。するとそこに広がっていたのは、夜空に満天と輝く星々の姿だった。

「き、キレイ............」

神楽の素直な感想に、沖田は

「俺のとっておきスポットでさぁ、ほんとはお前じゃなくて、姉ちゃん連れてきたかったんだがねー」

「お前、姉ちゃん居たのかよ。お前みたいなやつが弟なんて、大変アルな」

そこで2人は口喧嘩になった。しかしそれもすぐに終わり、

その姉がもう居ないことを聞いた。自分にも兄がいること、その兄が、沖田に似ていることを話した。

吉原でのことは、伏せておいた。何せ相手はあの真選組なのだから。

「へー、兄貴が俺とねぇ、で?てめぇは何時までその敷けた面してるつもりだ?」

神楽はようやく、自分が今泣き出しそうな顔をしていくことに気づく。

気づいたときにはもう遅く、涙は、大きな目から溢れ出す。

「あ、あれ?.........と、止まんない......アル............?」

必死に止めようとする涙は、全く止まらない。なぜこんなやつの前で泣いているのだろうか、きっとからかわれる。きっとネタにされる。

そうは思いながらも、この溢れてくる滴を止める術を、神楽は知らない。

そんな神楽を今まで黙って見ていた沖田だったが、次の瞬間ギュッと神楽を抱き締めていた。

「泣きたいときにゃ、泣けばいい。我慢できなくなりゃ、我慢しなくていい。旦那も、新八くんも、姐さんも居る。てめぇにゃ、そんな面似合わね。何時もみたいにしてくんねぇと、調子狂うぜ。ちくしょう......」

それから暫くして、やっと涙は止まった。

「あ、涙。止まったアル」

「そうかい、そりゃ良かったな」

もうすっかり辺りは真っ暗だった。

「しかたねーから送ってやるよ」めんどくさそうに言う沖田。何時もの笑顔に戻った神楽。万事屋の近くまで来ると

「もうここでいいアル、銀ちゃんにばれて変な噂でたら嫌だからな、まぁ今日はアリガトヨ。........................また、泣きたくなったら、お前のとこ行ってもいいアルか?」

「好きにしなせい」そう言って、別れた2人。



神楽の顔が少し赤いのは、泣いていたせい。


それじゃ、沖田の顔が赤いのは?


自分の気持ちに気づいていない2人が、自覚するにはまだ早かった。








お粗末様でした‼思いつきなので、滅茶苦茶です( ̄▽ ̄;)
作品名:星空に変わるとき 作家名:季瀬