【戦国BASARA二次創作】声の呼ぶ方へ
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…呼ばれてる・・俺が?
「どうかされたんですか?」
ふと、我に返れば
船頭が自分の顔を覗き込んでいた
「いや、何処からか声がするのです
多分…俺を呼んでる…」
と船頭に言えば、船頭の気配が変わった
「…何を仰いますか、此処には私とアンタ、二人だけですよ?」
「そうではあるが…確かに聞こえたのです
間違いないでござる」
此の、凛と響く声を
嘘だと思いたくはない…
だって
あんなにも、力強く
執拗であると言えば、失礼ではあるが・・
俺を呼んでるんだから―
かえらなければ・・!
「それに今更引き返せませんよ
一緒に逝くんだ…!!」
そう言って、俺の腕をぐっと掴んできた
「っ・・・離せ…!!」
渾身の力を奮って、振り払えば
同時に船頭が被っていた黒い布がばさりと落ちた
顔を見れば…見知った顔が見えた
作品名:【戦国BASARA二次創作】声の呼ぶ方へ 作家名:勅使河原 知利