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リベンジ

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「ねねね、馬村!今日ヒマ?」

「は?別に予定ねえけど。」

「じゃあさ、この間行ったカフェ行こうよ。」

「カフェ?海鮮焼きそば食ったとこ?」

「うん!」

今度こそカップルメニューを食べるんだ!

すずめはまだまだ馬村とカップルらしくなれないので、
今度こそラブラブしてやろうと意気込んで
カップル限定メニューを注文した。

「俺に選択権はねえのかよ。グラタン…」

ボソッと馬村は呟いたが、
結局はすずめのいうとおりにしてしまう。

出てきたのは仰々しいくらいの
大きな派手なパフェだった。

「「・・・・・・。」」

写真で見て想像していたものより
かなり大きくて、2人は絶句してしまった。

「た、食べよっか。」

「ん。」

ひとつのパフェを2人でつついて食べる、
という行為がラブラブさを増すはずなのに、
パフェの甘さに2人の甘さがついていけず、
だんだん無口にグロッキーになっていく。

「悪ぃ、俺もう無理かも…」

「わ、わたしも…」

「どうすんだよ、これ。」

半分残ったパフェを前にしてすずめは、

「すいませーん!」

と店員を呼んだ。

「はい。何かございますか?」

「これ、食べきれないので
持って帰れませんか?」

「ばっ!」

「申し訳ございません。衛生上の問題もあり、
あいにく当店ではそういうサービスは
行っておりません。」

店員がそう言うと、「そうですか…」
と、すずめはしょぼんとした顔をした。

「バカ。持って帰れるわけねえだろ。」

「だってもったいないじゃん。」

「しょうがねえから出るか。」

「う~~」

すずめは食べ物を残すことに罪悪感があるようだ。

「ちっ。」

馬村がそう軽く舌打ちしたかと思うと、
残ったパフェをスプーンで食べ始めた。

「えっ、馬村、もう無理って…」

馬村はそれには返事もせず、
一気に半分溶けたアイスと生クリームを
喉に流し込んだ。

「う||||」

「だ、大丈夫?馬村。」

「…大丈夫じゃねえし。」

「グラタン食べる?注文しよっか?」

「オマエは俺を殺す気か…」

「だって好きなもの食べたら治らない?」

「んなわけねえだろ。とりあえず出ようぜ。」

「う、うん…」

支払いを済ませ、2人はカフェを後にした。

馬村は青白い顔をしていた。

「ごめん。」

「何で謝んだよ。」

「だってわたしがカップルメニュー食べよって
言ったから…」

「それでいいって言ったの俺だし。」

「でも…」

「うるせー。そんなこと言わすために食べたんじゃねえ。笑え。」

馬村はそう言うと、
落ち込むすずめの頬をぎゅっと掴んだ。

「この間はうれしそうに食ってたじゃねえか。」

「?にゃにを?」

「塩焼きそば。美味かったんだろ?」

「うん。」

「今日は自分が食べたいもの頼んだんじゃねえしな。」

「え…や」

「カップルらしくなれたかよ。」

「………え!あ、えと、」

「……らしくってよくわかんねえけど、
オマエは何したらカップルって思うわけ?」

「……さあ?」

じつはすずめもよくわかってなかった。

「オマエな。」

馬村は呆れ顔だった。

歩いてると、ちょうど公園があった。

「ちょっと休ませろ。」

「え?うん。」

馬村はドサッとベンチに座った。

「オマエも。」

ベンチの上をポンポンと馬村が叩いた。

ちょん、と座ると、
おもむろに馬村が頭をもたげて
すずめの膝を枕にした。

「えっ///ま、馬村?!」

「具合悪ぃからちょっと我慢しろ。」

そう言いながら馬村の顔は首まで真っ赤だった。

サラ…と落ちる髪が柔らかく膝に当たってくすぐったい。

すずめはおもわず馬村の頭を撫でた。

「!////」

恥ずかしさに耐えきれず、
馬村は膝枕をしながらも腕を組んでいた。

「馬村!これ、カップルっぽいね!ねえ?」

馬村がふとすずめの顔を見上げると
こちらの気も知らないでご満悦である。

「…そうかよ///」

正面を見ると、公園にあそび来てるらしい
小さな子ども達がジッと見ていた。

ガバァッと馬村は体を起こし、

「もう治ったから!」

と言って少し乱れた制服を整えた。

ちょっとだけ残念そうにするすずめを見て、
馬村は「帰るぞ」と手を出した。

「?」

すずめはきょとんとしていた。

「カップルらしくすんだろ。」

「あ…ああ!」

差し出された手にすずめは自分の手を重ねた。

そっと包んで引くその手はまだ少し赤い。

手だけでなく、どこもかしこも温かで。

「カップルらしくってなんか恥ずかしいね。」

ボソッと呟いたすずめの言葉を聞いて、
「てめえ、ふざけんな。」
と返した馬村だったが、目は笑っていた。

「次は俺は絶対グラタンにするからな。」

次の約束。

また一緒に行ってくれる。

それもなんだか嬉しくて。

馬村はガラじゃないしダセエと思いつつも
ニコニコうれしそうなすずめを見ると、
(ま、いっか)とつい思うのだった。
作品名:リベンジ 作家名:りんりん