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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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今、ここで人々は、〈ヤマト〉を信じ始めていた。ヤマト、ヤマトと声を揃え、お経のように唱えることで、〈ヤマト〉を信じ始めていた。

近藤にはそれがわかった。だから自分も、皆の声に合わせて言った。

「ヤマト……ヤマト……」

「ヤマト……ヤマト……」

祈りの声が谺(こだま)する。煙が薄まり、上に広がる天井が見えるようになってきた。声はそれに反響し、地下都市全体に広がっていくように思えた。

そのときだった。

『緊急速報をお知らせします!』

声が響いた。ラジオの音だ。アナウンサーが興奮した口調で言う。

『市民の皆さん、近くの電光掲示板をご覧ください! 政府より重大な発表があります!』

人がざわめく。なんだ?と言った。電光掲示板?

「おい、見ろ!」

と言う声がした。地下都市には至るところに、市民に情報を伝えるための電光掲示板がある。この球場の大スクリーンもそのひとつだ。皆あらためてパネルを見上げた。

近藤も見た。先程までの文に替わって、新たな画(え)が表れていた。動画のようだが、しかしなんだか――。

「なんだ?」と人々が言う。「これがなんだと言うんだ?」

ちょっと見ただけではよくわからない。壁の前で虫が動いているのでも撮ったもののようにしか――。

けれども次の瞬間に画面の中で起きたことに、誰もが目を見開いた。

ラジオが叫ぶ。『政府によると、これは〈ヤマト〉がつい先程に送ってきたものとのことです!』

「何?」

とまた人々が言った。だが動画は続いている。人のどよめきも続いている。『一体これはなんだ』と声を上げながら人々は、大スクリーンの映像を見上げた。

真の衝撃が訪れたのは、そうしてしばらくしたときだった。『おおーっ!』と言う人の声が球場を揺るがす。それは地鳴りのように響いて、天井に反響し、周囲へ谺していった。