敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女
海に潜れば、時間は稼げる。主砲が受けた損傷も、今ならすぐに直せそうだ。海に潜ればその時間も稼げるだろう。イチかバチかだ。それに賭けるべきなのか?
「艦長……」
言って真田は沖田を見た。沖田は言った。
「ビーム対策は君に任せている。どうするかは君が決めろ」
「はい……」
と言った。しかしどうする――そう思った。そのときだった。相原が、
「ん?」と言った。「なんだこれ?」
新見が言う。「どうしたんです?」
「いや、変な入電が……〈アルファー・ワン〉からです」
「古代から?」
「うん、だけど……意味がわからない。こんな暗号ないんだけど……」
「ほう」と沖田。「読んでみろ」
「はい。『シマ、ココロア』。以上です」
森が言う。「はん? 何それ?」
「いや、だから、わかんないって。そもそも今は通信を制限しているんだし……」
そのときだった。島が言った。
「『シマ、ココロア』――古代がそう言ってきたのか?」
「うん……え? 島さんわかるの?」
「わかるよ」と島は言った。「それは〈オキ〉のことだ」
作品名:敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女 作家名:島田信之