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同調率99%の少女(8) - 鎮守府Aの物語

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「それじゃ次の質問。いい?」
「ふぅ……。はい。いいっすよ。」
 3人共気を取り直す。

「内田さんに兄弟姉妹はいるのかな?」
「さぁ〜。少なくとも俺は内田さんの家のこととかはまったく話す機会ないっすからねぇ。俺は、ないっすけど、多分他の連中なら話したことあるやついるんじゃないっすかねぇ。」
「わかったわかった。強調しなくていいからw そこは本人にいずれ聞けばいいことかな。ともかく、内田さんは男子と趣味が似通っていると。そこがポイントなのね。つまり、1年女子が噂してるようなことは男子代表の三戸くんから聞く限りでは見えてこないわけだ。うんうん。なるほど。」

 一人で納得した様子の那美恵を見て三戸は女子の噂って?とよくわかっていない表情で聞き返すが、那美恵は女子の間柄のことだからと、三戸に教えなかった。
 那美恵は三千花の方を向いて彼女の反応を待つ。それにすぐに気づいた三千花は音の高い咳払いを軽くして、那美恵に言った。
「なぜ私を見るのよ?」
「いや〜みっちゃんの内田さんへの印象変わったかなぁ〜って。」
「まぁ……男子視点からの彼女を知って多少はね。でも女子視点の内田さんの話が気になるわね。」
「それは言えるね。どこまでいっても男子と女子は分かり合えないところ、あるのかなぁ〜?」
 両手を頬に添えて、偽りの照れ顔をして冗談めかして言う。

「……で、なみえがそれを知ってどうするのか教えてよ。それによっては私達の手伝い方も変える必要があるよ。」
 那美恵は三千花の言葉を受け、少し考えるために沈黙する。時間を確認するとすでに12時45分を回っている。そろそろ教室に戻る頃合いである。
「よし。作戦思いついた。三戸くん、男子が知ってるゲームでさ、例えばプレイする人がヒーローやヒロインに変身して戦うゲームで有名なのって何がある?」
 唐突な質問を受けて、三戸は腕を組んでうーんと唸った後、思い出した中でいくつかのゲームのタイトル名を口にしてみる。が、もちろん那美恵と三千花からしてみると何言ってんだこいつと突っ込みたくなるくらいわからない作品ばかりである。が、那美恵にとってはそれは問題ではない。

「……っていうくらいっすかね。」
「わかんないけどわかった〜。」
 三戸の挙げた例に素直に感想をいいつつ相槌をうつ那美恵。
「ゲームのことなんて聞いてどうするの?」
 三千花が二人の方を、主に那美恵の方を見て尋ねた。

「うん。好きそうなゲームになぞらえてさ、艦娘の展示や艦娘に興味を持ってもらうのってどうかなって思ってさ。」
「ゲームに?」三千花が聞き返した。
「そーそー。どんな形にせよ興味を持ってもらわないと始まらないからさ。」
 那美恵の考えていることに三戸はピンと来た様子。那美恵が説明する内容を聞いてそれは確信を得た。
「そういうことっすか!だったら任せて下さい。なんとか宣伝してみます。内田さん、多分興味持ったらすぐに来ると思いますよ。」
「お、三戸くんやる気ぃ!いいねいいね〜。じゃあ任せたよ。」
 那美恵は三戸にあとは任せたという気持ちを込めたウィンクをする。

 その後一通り話し終えた三戸は一足先に生徒会室を出ていった。生徒会室には那美恵と三千花だけが残る。三千花は親友に内田流留を気にかけるその意図を聞きたかった。
「なみえ、この前も聞いたけどさ、なんで内田さんを急にそんなに気にするのよ?」
 時間も時間だったので、弁当箱を片付けつつ、二人は会話をする。
「あの時言ったのはどっちもホントだよ。ビビッと来たのもホントだし、単純に艦娘の展示を見てもらえる人を増やしたいってのも。それに第三者からだけど話を聞く限りだと、影響力高そうな人だから、そういう人を味方につければいいかなって。」
「影響力があるって……彼女は男子だけよ。女子からは噂の限りだと誤解を受けてるから、それを解決して女子にも影響与えるのは私達の手じゃ厳しいよ。人生相談でもないしお悩み相談するわけでもないんだから。」
 生徒会室を出て鍵を締める。そして教室に向けて歩きながら会話を続ける那美恵と三千花。

「そりゃああたしも内田さんの誤解を解いてどうのこうのまで面倒見る気はさらさらないよ。そんなことあたし興味ないし。彼女が艦娘に興味を持ってくれれば、それでいいよ。」
「……うん。それでこそなみえだわ。私はてっきりあんたが相当深く内田さんに思い入れてるのかと思ったけど。」
 三千花の自身への評価に那美恵はエヘヘと苦笑した。

 そんな親友の様子を見て三千花は密かに別のことも思っていた。
 親友にとって、あの西脇提督が大いに興味を引く存在だというのは理解できた。だからこそ親友は彼をこれからも支えていくのだろう。一方で、内田流留という少女はどうだ?
 親友は彼女に興味を持ち始めている。ビビッとキたといういわゆるフィーリングが本当に合ったとなれば、いずれ西脇提督に対してと同じように彼女に尽くそうとするだろう。一方で興味を完全に失ったら見向きもしない。親友たる光主那美恵はそういう人間なのだ。
 自分は二人をどう間を取り持つべきか。どちらが本当に親友にとって良いことなんだろうか。

 那美恵自身もまだ完全に振りきれてないが、三千花もまた、どう振る舞うべきか考えあぐねていた。