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しょうきち
しょうきち
novelistID. 58099
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冒険の書をあなたに あらすじ

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序章
 恋人同士のまま女王と守護聖の道を選んだ二人。
 久し振りの逢瀬のときに見つけた一冊の書物が、二人を冒険の旅路へと誘っていく。

「……私にも読めない言語の本、なのに神鳥の紋章が入っていた。そして本から放たれた強い光……」
 アンジェリークの金の髪を優しく指で梳きながら、ルヴァはある仮説を立てていた。
「根拠はないので、もしかしたらの話なんですけど。私たちは、あの本の中の世界へと呼ばれてしまったのではないかと思うんですよ」

 森を抜けた二人が見つけた古城。
 そこへ向かおうとしたとき、二人の目の前に大きな竜が現れる。

「何をしているんです、早く逃げなさい!」
 べったりと服に染み出た血を押さえてアンジェリークを叱咤した。アンジェリークもまた、涙でぐちゃぐちゃになりながら負けじと叫ぶ。
「いやです! ルヴァを置いていけな──」
「ではそのまま私が喰われるところでも見ていなさい!」
 ルヴァの剣幕に気圧され、びくりとアンジェリークの肩が震えた。
 いつものように優しく応対している暇などない。きつく突き放してでも、彼女をこの場から一刻も早く遠ざけなくてはならない。
「あなたがしなければいけないことは何ですか、陛下! 私たちの宇宙はどうなるんです、要のあなたがここで死ぬわけにはいかないでしょう!」
 アンジェリークの大きな翠の瞳から、幾筋もの軌跡を描いて涙が溢れ出ていた。

 そしてルヴァは、黒曜石を思わせる色の不思議なまなざしをした青年、リュカとその家族に出逢う。


第一章 グランバニア編

 リュカ一家が住まうグランバニア城へと身を寄せたルヴァとアンジェリーク。
 情報も装備も何もかもが不足する中で、ルヴァはサクリアを魔力へと変換させられるのではと考え、猛勉強を始めていく。

 表向きは夫婦ということにして見知らぬ世界の情報を集め始めた矢先、アンジェリークを天使と呼ぶ魔法使いの存在へと辿り着く。
 ルヴァは女王アンジェリークの強大な力を欲しての悪しき企てではないかと訝る。
 不思議なことに、この世界の魔性のものたちの言葉が理解できるアンジェリーク。
 幾つかの不可思議な謎を残しながら二人はリュカ一家と交流を深めていく。
 
 魔術書を読み込んで特訓に挑むものの、詠唱を終えないうちに呪文が暴発し続けるルヴァ。
 どうやらルヴァのサクリアでは呼び出す力が大きすぎることが分かり、アンジェリークの調和のサクリアを介すことで解決を図った。

 魔物たちが闊歩する世界でようやく戦う手段を手に入れた二人。
 そしてアンジェリークは水鏡でリュカの過去を見る。
 ヘンリー王子の誘拐事件、そして父パパスを目の前で殺害されたリュカの慟哭。
 水鏡は何故、アンジェリークに悲惨な過去を見せ付けるのか────

第二章 ラインハット編

 リュカに誘われ、友人であるヘンリー夫婦のいるラインハット城へとお邪魔した二人。
 そこでリュカから父の殺害場所である古代の遺跡へとついてきて欲しいと頼まれ、一緒に同行することに。
 亡父の焦げ跡の前で静かに咽び泣くリュカとそれに寄り添う魔物、キラーパンサーの背を見つめるアンジェリーク。
 ふいにプックルの声が耳に届いた。
「天使よ、頼みがある。そのまま……リュカのために泣いてくれ。泣けないおれとパパスの代わりに」

 弔いの時間が終わり、三人と一匹は次に故郷サンタローズへと向かう。
 ルヴァはサンタローズ周辺の森が焼き討ちに遭い消失したことを突き止め、更に細切れの情報からリュカとヘンリーの失われた十年の経緯を推理して見せた。
 それから再びラインハットへ戻り、城下町で軽食を取りながら夢魔エンプーサについての話になった。
 夢魔とはいえ女性の容姿に文句をつけるのは……と渋っていたルヴァも、モンスター図鑑を見て能面に。

 宴が始まりルヴァとリュカ・ヘンリーのチェス対局で盛り上がる。
 ルヴァとアンジェリークの魔力の大きさを感じ取ったヘンリーがリュカを心配しつつ、最終決戦へ向かう友を励ます。
 樽で脱出組の元奴隷三人が話す中、ルヴァたちはビアンカと話しこんでいた────