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同調率99%の少女(9) - 鎮守府Aの物語

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 那美恵の言葉を聞いて三戸は落ち着きを取り戻していく。
「わかったっす。もうちょっと周りの様子を見ます。」
「うんうん。そーして。……で本音は?」

「内田さんが困っているところに手を差し伸べて弱みに付け込んで恩を売って艦娘になってもらって会長に喜んでもらいたいっす。」
 三戸の発した言葉を耳にした3人は1〜2秒してからプッと吹き出した。真っ先に吹き出したのは、珍しいことに三千花だった。

「フッ……!なにそれ三戸君!?アハハ〜誰かさんとほとんどまったく同じこと考えてる〜!」
 三千花はそう言いながら那美恵のほうを向いた。見られた那美恵は
「ギクリ」
 と口から擬音を発しながら引きつった顔をした。

「いや〜あんたら気が合うわね。良いコンビになりそうだわ〜」
 誰が、とは口にせず、那美恵と三戸を交互に見ながら三千花はツッコミを入れる。
「みっちゃ〜ん?」軽いしかめっ面になって那美恵は唸る。
「アハハ。ゴメンゴメン。それよりなみえ。せっかくだからなんか案出してあげたら?」

 三千花の促しに那美恵は深くため息をつく。素の行為ではなくわざとらしいオーバーリアクションなのは誰の目にも明らかだった。
「はぁ〜……。ま、いいけどさ。でもこれは内田さんのプライベートの話だから、あくまでもってことでお願いね。」
 那美恵のもったいぶらせた発言に三戸は表情を明るして反応する。
「え?え? なんすか?何かいいアイデアが!?」
「アイデアというか、あたしたちは表立って動くべきではないから、二人にはそれとなーく情報収集をお願いしたいってこと。」
「俺や」「私がですか?」
三戸と和子は声を揃えて聞き返した。

「うん。でも……二人を監察方みたいに使うようで申しわけないなぁって気が引けちゃってさ。」
 那美恵が心配するのは、二人を使いっ走りか完全な部下であるかのように扱ってしまうことだった。
「なぁんだ。そんなことっすか。」
「会長、そんなの今更ですよ。私達は次の生徒会を継がなくちゃいけないんですから、どんどん指示してもらってよいと思います。」
「三戸くん……わこちゃん……。」

 那美恵は書記の二人が少しだけ頼もしく思えた。


--

 気を取り直して、那美恵は二人に自身の考えを打ち明ける。
「まだ半日だし、さっきも言ったけど当事者たちの対応を待つのが先というか当たり前。その上で、三戸くんとわこちゃんには、男子と女子の視点とグループというか集団の中での内田さんと吉崎って人の情報を集めて。生徒会が探ってるって思われると今後やりづらくなるだろうから、二人の交友関係の範囲内でいいからね。まずは情報集め。2〜3日したら教えて。」
「「はい。」」

 那美恵は三戸にはもう一つ指示する。
「三戸くんは内田さんとそれなりに仲良いって言ってたから、場合によってはガツンとアタックして直接聞き出しちゃってもいいと思う。」
「あ、でも会長。内田さんと仲良い1年の男子たちには、内田さんとは距離を置けって女子から脅し的なお願いされてるんっすよ。女子もそうなんだよね、毛内さん?」
「うん。そういえばそう。私も他の子から言われたけど、適当な返事して流しておきました。」
 三戸と和子の回りにも、流留を無視しろ・敵対しろという女子間の連絡が回ってきており、着実に内田流留包囲網は広まりつつあるのだ。
「めんどくさいわね。小中学生じゃないんだから……。」
 眉間を抑えて1年女子の対応に呆れる三千花。
「まー、全員そんなお願い聞くわけじゃないっすからね。俺は元からそんなの無視するつもりでした。」
 三戸の言葉に和子も頷く。

「じゃあこれが最後。この情報収集は、あくまでも三戸くんとわこちゃんが勝手にやってるってことにして。これを念頭に置いて立ちまわってね。」
「「はい。分かりました。」」

 内田流留のプライベートの問題に、生徒会が裏で解決の支援を試みる計画が動き出そうとしていた。