call my name
そうやって呼ぶ、君が大好きで。
「なーに、日吉」
二人きりの時間は、本当に幸せで。
「あの、あー、えっと」
「もう、早く言いなよ」
「だ、抱きしめても、いいですか」
もう、これ、何度目?
「……好きな時にすればいいって、言ってるのに」
付き合い始めて結構経つのに、いちいち確認してくるのが、かわいい。
「だって、あなたがそういう気分じゃなかったら嫌じゃないですか」
「会ってる時は、いつも抱きしめて欲しいって思ってるよ?」
「なっ……」
真っ赤になった。かわいい。
「あなたは、なんでそう恥ずかしいことを……」
「ほんとのこと言ってるだけじゃない?ほら、おいでよ」
「……じゃあ、失礼します」
日吉の匂いに、包まれる。
緊張しているのか、どこかぎこち無い抱きしめ方。
何度やっても、慣れないのかな。
日吉の髪が首にあたって、ちょっとだけくすぐったい。
頭を撫でると、日吉の腕の力が抜けて、優しい抱きしめ方になる。
「……滝さん、いい匂い」
「日吉のがいい匂いだよ」
「……大好き」
「ん……俺も、大好き」
たまらなく愛しい。離れたく、無い。
「……あとちょっとしたら、卒業しちゃうんですね」
「まぁ……上あがるだけだけどね」
「それは……そうです、けど」
そういうと日吉は、さらに強く俺を抱きしめる。
「今日は、甘えんぼさんなんだね」
「……あなたと、離れたくないんです」
「それは、俺だって、同じだよ」
中等部と高等部じゃ、勉強も、教室も、部活も、違う。
今まで通りに会うことも、あまり出来なくなってしまうだろう。
顔は見えないけど、日吉は不安で泣きそうになっているはずだ。
「ねぇ、日吉、こっち、向いて」
ほら、やっぱり、目が潤んでる。
「……なんですか?」
「キスして、誓いの、キス」
「え?」
「俺は日吉と、ずっと一緒にいるって、約束する」
「滝さん……」
「ねぇ……日吉は?」
「俺も、ずっと、一緒にいます」
優しい目。優しいキス。
ちょっとだけ、大人の。
「日吉、俺は君から離れる気は、ないよ」
「……俺も、あなたを絶対に離しません」
「そうだ、日吉」
「はい?」
「今日、泊まるよね?……いっぱい、愛して欲しいなぁ」
「……あなた、止まらないじゃないですか」
「だって、日吉といっぱいえっちしたいんだもーん!!」
「っ、大声で言わないでください……っ!」
日吉に、腕を絡める。恥ずかしそうに目を逸らす、君も愛しくて。
きっと、愛してるの気持ちはずっと、変わらないから。
「……日吉っ」
「はい?」
「……ふふっ、なんでもない」
「……もう、なんなんですか」
君の温もりと、一緒に生きていこう。
作品名:call my name 作家名:nichiha