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ナイチンゲールの鳥籠

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「落ち着いたかね」
「ああ…」
寝台に腰かけたままじっとしていたダニエルはようやく顔を上げた。そしてもう大丈夫だと年上の男に微笑もうとしたが、顔は強張ったままで上手くはいかなかった。
深夜、恐ろしい悪夢に目を覚まし、ダニエルは自分でもよく分らないまま逃げるように部屋を飛び出してこの城の主の寝室を訪ねていた。アレキサンダーは驚くこともなく、ダニエルを招き入れ、黙って傍らで青年の恐慌が過ぎ去るのを待っていた。

「こんな夜中に押し掛けて、本当に悪かった」
体の震えはまだ収まらなかったが、こうして気分が落ち着いてくると、急に己の取り乱した行動がはずかしくなり、ダニエルは気付けに渡された酒の残りをあおった。
「気にすることはない、ダニエル。君と同じものを感じることはできないが、あれの恐ろしさは私も知っている」
アレキサンダーは空のグラスを受け取り机の上に置くと、ダニエルに近付いて肩に手を置き静かに言った。
「君はよく耐えている」
深い同情を纏わせた優しい声色に、一旦落ち着いていたダニエルは思わず両手で顔を覆った。
「アレキサンダー…!」
ずっと堪えていた叫びが、喉を溢れてほとばしった。
「あれはすぐそこまで来ているんだ…!彼らのように私も死ぬ!いいや、死よりも恐ろしい!あの影に魂まで喰らい尽されて……嫌だッ…私は死にたくない…!」
「ダニエル」
アレキサンダーは隣に腰を下ろし、勇気づけるように、ダニエルの肩をしっかりと抱き寄せた。
「気をしっかり持ちたまえ。まだ猶予はある。きっと方法は見付かるだろう。あれを退ける方法が。私は君を見捨てなどしない」
嗚咽を漏らし始めたダニエルの背を男の手がなだめる様にさすった。
「大丈夫だとも。君が私を信頼してくれるなら、必ず私が君を導こう」
ダニエルがしがみつくように腕をまわすと、しっかりと抱きとめられる。見つめる金の瞳は慈悲深げだった。それは彼だけが己の苦痛を理解し、この運命に希望をもたらしてくれる存在であるとダニエルに示してくれていた。

「アレキサンダー」
このまま彼の手で恐怖の名残を消し去って、運命を忘れさせて欲しかった。
「いいとも。今夜はもう夢など見ないようにしてあげよう」
彼はこれからダニエルに口付けて、彼自身が教えた行為で望み通りのものを与えてくれるだろう。

「…っ、私にはあなたが必要なんだ、ああ、私を救って」
巧みに暴かれていく熱に、簡単に理性は溶けて行く。
身も世もなく全てを預けて縋る。
「ダニエル……、私も君を待っていたのだよ」
その中で、ふとひとり言のように呟かれた男の言葉の意味を理解をしないまま、ダニエルは夜を明かすための行為へ沈んでいった。
作品名:ナイチンゲールの鳥籠 作家名:あお