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4 15の決断

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「あの…」
―ごめんなさい…。

医師が帰ったあと残された二人の間に何とも言えない沈黙が場を支配する。

その沈黙をおずおずと、ユリウスが破る。

ハァ~~~~~~!
一息大きなため息をつくと、それを振り払うように大きく首を左右に振ってアルラウネは、ベッドから上体を起こしたこの義妹の顔を上げさせた。

「…あのミュンヘンの…ミモザの屋敷の晩にあなた達の間に何があったかは…私も薄々は気づいていたわ。…まさか、妊娠までは想定外だったけど…。愛し合っている男と女が一緒にいれば…恐らくこれは必然なのでしょう。お医者様が仰るように…まだ15歳のあなたに出産は…早いようにも思うけれど、これは致し方ないわ。…おめでとう。出産まで身体を労わって。貧血治しなさいよ」
そう言ってアルラウネはユリウスの肩をポンと叩いた。

「…祝福して…くれるの?」

ユリウスが再びアルラウネにおずおずと尋ねる。

「当たり前でしょう。あなたとアレクセイの子供ということは…私にとっても甥か姪…ということでしょ?嬉しくない筈ないじゃない」
―さ、もう寝なさい。

アルラウネはユリウスをベッドに押し込めると
「今日はもう寝てなさい。―明日から、あなたの身体の負担にならないように勉強は再開しますから」
そう言って、寝室を後にした。

一人になったユリウスは、寝具に潜り込んで枕に顔を押し付けて、こみ上げる嗚咽が外に漏れないように一人泣いた。

―それが嬉しい涙だったのか、不安の涙だったのか…、ユリウス本人にも良く分からなかったが。

作品名:4 15の決断 作家名:orangelatte