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25 何処へ・・・

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ユリアの行方が知れなくなった日、いつもの同志宅にミーチャを迎えに来なかったことからすぐに支部に連絡が入り、その夜から手分けして懸命の捜索は始まっていた。
しかしなんの手掛かりも掴めないまま、もう三日・・・支部メンは、さすがに焦りの色を濃くし始める。

「いったい、どこに行っちまったんだ!?町医者も全部あたったがそれらしい情報は得られなかったし・・・身元不明の遺体安置所も空振り・・・こうなると生きていたとしても・・・あんな綺麗な娘だ、憲兵にしょっぴかれてりゃぁ・・・」

「・・・そんなこと・・・アレクセイに申し訳が立たねえ・・・」

「あ、案外さ、ここで俺らにしごかれるのに嫌気がさして自分から消えたのかもしれねーぞ?そもそも外国人で育ちも良さそうだった。あんなガキがガキ抱えてこの国で生きてくなんて・・・パトロンでも見つけて、今頃故郷に帰ってたり・・・して・・・な」

「ブラーギン!おまえなんて・・・こと・・・それでも・・・それでも、無事生きててくれればいい、か・・・」

この国における「弱者の成れの果て」をさんざん思い知らされてきた革命家達は、いつの間にか同志として迎え入れていた少女の無事だけを、ただただ願っていた。それこそ、捨てたはずの神に祈るように・・・。

「・・・黙って聞いてれば・・・ちょっと男ども!女を、母親ってのを甘く見るもんじゃないわよ!!あのユリアよ⁉恋人だけを信じてこのとんでもない国に来て、あろうことか16で子供まで産んで、旦那がシベリア送りになっても泣き言の一つも言わず歯ー食いしばって生きてたあのコが、そう簡単にくたばったり、ましてや逃げたりするはずがないでしょうが!!どんなことがあってもうちらで探し出して、必要なサポートをするの!ほら、さっさと捜索再開!」

ジーナの喝に、最悪の事態を思い浮かべ凍り付いていた男達の雰囲気が、少しだけ溶けるように和む。

「そ、そーだよな!あの小娘はそんなヤワじゃねえ。最初にもの凄い目で俺らを睨み付けたくらいだもんな!」

「俺の金髪ちゃん、一日一回は拝まないと落ち着かないんだ~。よーし、帰って来たらあの金髪に顔を埋めさせてもらうぜ!」

なんとも単純な男どもに呆れながら、ギリギリと奥歯を噛みしめるジーナだった・・・。
作品名:25 何処へ・・・ 作家名:orangelatte