擬かんしゃSS
【空/へりふね】
空から首輪をつけている僕は高く飛べて晴れた空だったら自由自在なのさ。
でも突然、気づきもしないうちに首輪が取れてしまったんだ。僕は何度も飛ぼうと努力をしたのだけれど、どうしても飛べないんだ。
だから高い崖から飛ぼうと宙へ足を踏み出す。
―――今日は飛べるはず。
もう一歩先へ。
目が覚めた。気を失っていたようだ。
でもここは空じゃなくて船の上のようだ。
そう、同じレスキューセンターで働くキャプテンの。
彼が言うにはここ最近の僕の行動はおかしかったらしい。ずっと上の空だし一人で何かずっと言ってるみたいで他のメンバーは僕の後を追っていた、とのことだ。
外れた首輪のことを話そうかとも思ったけれどあれは僕にしか見えない特別製の首輪だ。だから
「ただの風邪だよ」
僕は笑ってそう言った。