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おれが素顔を講評できない理由だ。
変装しているときより時顔の方が雷蔵に似ているということだ。
もちろん初めてあったときはそうじゃなかった

俺の素顔は今や俺の変装の技術なんかはるかに凌駕する完全な模倣を遂げていて、雷蔵の外見よりももっと雷蔵の心の形に近づいてしまった。俺が?
反比例:もちろん全く同じ早さで俺は俺自身の形から遠ざかる。しかし早さは同じなのに、俺の素顔と雷蔵のこころ、俺の素顔とおれの心の間に広がった差は全く違う、雷蔵はもともとなんか狭い中にいたんだけどおれは無限のほうに近い場所の人だからなんかもう雷蔵の心から離れられてもおれのこころに戻ることはもう二度とできないんじゃないかと思ってる、もう遠くて遠くて… ああ、つまり俺の素顔と雷蔵のこころの距離100としたら俺の素顔と俺のこころの距離は7キロくらいなわけで… … …。雷蔵から100逃げレても6900にしかおれの地点にはいないのだ。

一ヵ月前、もうどうしようもなくて毎日心の中であがきまわって泣きたいわ助けて欲しいわどうすればいいかわからないまま里帰りした。父も母も恋しかった。
おかえりなさい三郎ひさしぶりね、もう本当に親の前くらい素顔をみせなさい、シャイなんだから
確かにおれシャイだしそういった意味でこのあいだきたときは一回も変装崩さずにいたんだけどごめんもうそうじゃないんだ。
父さん母さんおれもう本当に素顔さらせないんだ。ねぇなんでおれこんなことになっちゃったの?おれの人生なのになんでこんなめちゃくちゃになっちゃったの誰が操ってるの?
とにかく母さん顔見るやいなやこんなこと言ってくるからもう俺は半泣きだったけど気づかせずに住んだ、おれの半泣きは無く素振りに全く入らないからな
いつ言いだそう、飯くった後かな、もうラクにして欲しくてその気持ちばかりふくらんでふくらむのに決壊はしないから自分でそこは一押しが必要なんだけど なんでだろうね。
俺にも俺以外にも言えることだけど一押しする気持ち抱えたまま10秒、1分、40分、3時間、あと10数えたら、やっぱだめだあと20数えたら…と先延ばししてるまに父も母も寝た俺は眠れなかった。言っていいこと、甘えていいことなのは明白だったその明白さかげんにかこつけてらくになろうとしているのに俺は。ねぇ父さん母さんおれ顔がこうなっちゃったんだよどうしよう??!!!!って泣いて困惑させても父も母も具体的にはどうにもできなくても子どもにはどうしてあげればいいか知っているから絶対らくにしてくれること請け合いなのに俺は。もしかしたら昨日打ち明けていれば父か母が対処法を知っていたかも知れない、でももう今日では遅いのかも知れない、いや自分の顔なんかおかしくね?って思った日に手を打っていれば、 …
この帰省中、おれがした思考の数を一億としたら行動は0だった。いや思考の数を1とおいても0とおいても0だった、相対的に見る価値もない、スキもない、絶対的な0………



なんかまぁ髪だけ違うんだけどうわこれ雷蔵のできそこないじゃん変装的な意味でって思って一瞬自嘲したんだけどでも言い得て妙ってやつでね俺は雷蔵の出来損ない名わけですよ人間のできそこないだとおもってるんでね

そうして自分の顔見てたらさすがに泣いちゃってくずおれちゃってしたら久々知と竹谷が気づいてもう俺の泣き方が尋常じゃなくていやさめざめと泣いてたんだけどすごい心配かけちゃってすぐ雷蔵もきてすごいびっくりさせちゃって泣かせちゃいそうだったんだけどもう自分なんの余裕もなかったんで雷象の目がうるうるしてんのもどうにも出来なくて三人に抱えられるようにしてなんとか部屋の布団に倒れ込んででもいっこうに収まらなくて一晩四人でずっといたなぁ

誰もなんで泣いてるの とか聞いてこないしききたそうな素振りもなかった。でも目配せは俺以外で何回かしてた。そんときは完全に四人一緒だった。けれど一対三だった。四人で完全にひとつの心の中にいた。おれがひとりなこと、三人がやはり同じ位置にたっていてなんか『側』が違うことが自明のことで、だから俺に手が出せないこと、手を何とか出したいこと、俺が手を求めていないこと、何とか出してきたい手を知っていること、でもこちらに受け取るツールがないこと、それを悲しいことだと四人が思っていること、手を求めていない俺が悲しいこと、そんな俺を三人が悲しがっていること、とにかくお互いの全てを完全に知っていた。気まずさも流れ去った 本当にすごい勢いで…。

こんなことなら、もしかして三人の誰かが俺の素顔の秘密に気づいてくれるんじゃないかと思っていたらなんと誰も気づかなかった。おれは少しがっかりした。誰かがうっかり気づいてくれたらもう何の言い訳も必要もなくなって、あとは考えるまもなく俺のとりあえず今抱えてる最大のつらさはなくなるんだと思った。まぁその後さらに大きなつらさが待っている可能性も大なわけだが今このつらさから解放されるならもうはっきり言ってどうでもいい。

なぁだってな雷蔵、びびるだろ?


竹取物語とか西洋の童話とかアンデルセン、グリム、おれはもしかしたらそういった後世に残される物語の主人公にされてしまったんじゃないかと思う。だって今は室町時代だし中世だしなんか神様的な人が俺の生をあとでちょっとひとつおもしろい物語を世界に増やすために犠牲にしているんだと思う。ふざけた話だろ?冗談じゃないだろ?なんでおれが辛くならなくちゃいけないの?

雷蔵、雷蔵。とくにおまえにはこう思う。
おまえも、なんか顔がむずむずすると思って顔を洗ったら知らない顔になってた、大騒ぎするからおれが見てみたら俺の顔になってた、とかな、とにかくなんでもいい、俺みたいになってくれ。朝起きたら煙になってたとかでもいいんだ、とにかく俺みたいに理不尽に信じられないことになってくれ、おれの一押しになってくれ。おれは、誰かをきづ付けることも、気を遣わせたりとかも実は得意じゃない。だからわがままも言いたくないタチなんだ。だけれど今、俺がすこしでもラクになれるなら、誰かおれのために犠牲になっていいと思う、むしろなってほしい。

それくらい、つらいんだ。
作品名:--- 作家名:ooc