二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
代打の代打
代打の代打
novelistID. 63523
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

はじまりのあの日1 始めましたの六人

INDEX|2ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 

「は~い。みんなね、待ってるよ~」
「じゃあ、皆の所に案内してくれるかな」

やさしく、わたしを下ろしてくれる彼。即座に、その手を引いて

「こっちこっち」
「お、おい。ちょいまて」

有無を言わさず、走り出す。チビのわたしに手をひかれ、ツンノメリそうになる彼

「待ってたんだよ~はやくはやく、こっちこっち~」
「っげ、元気だなっ」

リビングに駆け入って、こんどは素早く、彼の背後に回る

「みんな、きたよー新人さんっほらほら、自己紹介っ」

彼をみんなの前に、強引に立たせる

「「「「うわっなんかすごそうなヤツがきた」」」」

驚きの声をあげる家族達。ただ、それぞれ反応が違う。めー姉、可笑しげ。カイ兄不安げ。レンとミク姉は楽しげだ

「おまたせ~」

プロデューサーは、のんきな声で入ってくる

「僕の後輩と新人さん。ちょっと高速(みち)が混んでてさ。遅くなってごめんね。さあ、自己紹介」
「ウッス。本日からよろしく。前から先輩(パイセン)のPROJECT、参加したかったんだけどよ。求めてる『声』見つかんなくて。バンドで歌ってたコイツ。ようやく出会えて、参加したんだ」

続けて入ってきた青年は、サムライのプロデューサーと自己紹介した。ちなみに、サムライのプロデューサー、オーディション以外でスカウトしたのは、紫の彼が最初で最後。そして彼が話し出す

「神威がくぽ。念願叶ってこのプロジェクトに参加できました。これからよろしく、先輩方。後輩ですが、歳だけはこの中で最年長の25。コンセプトは、侍心の歌い手(もののふのうたいて)。以前は、バンド活動と格闘家もやってました」

自己紹介する、彼の声。美しい低音の声。家族の中には無い、全く違う、美しい低音。応えて、わたし達の家族も自己紹介を始める

「元音メイコ、22歳。一番はじめにプロジェクトに参加してます。アタシ達、皆、遠いところで繋がってる親族なの。あ、この子。カイトはアタシのだから。だけど衣装、びびった~。相当、変なヤツかと思ったけど、ちゃんと常識人だったのね。で、格闘家は」

紫の彼の肩を、親しげに叩く姉。距離感を詰めるスキンシップ

「会えて光栄だ。始まりの歌姫。格闘は引退。歌い手に専念。元々、バンドの方が好きだったし。まあ、この格好。変なのと思われてもしかたないな。心配するな、BLの気は、あんまりない」

サムライは苦笑いで返す

「はははは、確かに『腹を切れぇ』とか言われるかと思ったよ。オレ継音カイト、21歳。よろしくね。これからたくさん歌っていこう。年の近い歌い手でよかった。友達になれそうで。ああ、め~ちゃんはオレのだからさ。なんで、格闘家やめたのさ」
「よろしく。優しそうな先輩でなによりだ。友達になってくれ。分かったわかった、手は出さない。先輩方の歌聴いてたら虚しくなってさ。人、潰して俺が生きて。何やってんだって。人、生かしたい、癒やしたい。そう思って」

微笑んで、握手をかわす、兄と彼。握力が強かったのか、「痛っ」と声を上げるカイ兄。駆け寄るミク姉

「わたし、初音ミク11歳です。わ~なんだか楽しそうな人でよかったぁ。仲良くしてね~。ミクとも歌おうね~」

彼の手を取り、ぶんぶんと上下に振る

「よろしく、初音さん。あなたの歌を聴いて、俺は歌い手になることを決めたんだ。会えて嬉しい。是非俺と歌ってくれ」
「初音さんなんて言われると、なんかくすぐったいよ。ミクでいい」

笑顔で応じる彼。ミク姉めずらしく照れ照れしながらそう返す。めー姉も

「そ、他人行儀はナシっ。呼びやすいように呼んで。神威君。君が最年長なんだから」
「いいのか本当に」
「いいのっ、気楽にいきましょう」
「心得た、メイコ」

少し緊張していたのだろう。安堵の表情になる彼

「そうだよ~今日から、リン達、家族なんだから。鏡音リン8さい。いっぱい、いっぱい歌おうね」

再び長身の彼に、飛びつきながら、自己紹介

「元気いっぱいだ、リン。よろしく、かわいい先輩サマ」

わたしを抱き止め、撫でてくれながら紫の彼。至近距離で、彼の瞳に射抜かれた。うす青色の優しい瞳に。彼自身に。わたしは引き込まれた。かわいいとの一言に、わたしの心臓が跳ねた。そこに、弟が近づいて

「ぼく、鏡音レン8さい。兄さんが増えてうれしいな。いっぱい歌おうねっ。よろしくがく兄」

まだ、自分をぼくといってたレン。両手を差し出し、握手をかわす

「ありがとうレン。俺も弟ができたみたいで嬉しい。たくさん歌おう。ところで、リンレン、似てるけど姉弟(してい)なのか」

片膝をつき、わたしを肩に乗せ、レンを片手で撫で回しながら、紫の彼。誰となく聞く

「そうなんだ、神威サン。双子の姉弟。よく、リンが姉、レンが弟だってわかったね」
「ああ、双子だったのか。似ているとは思ったんだ。背格好でなんとなく姉弟かなと」
「神威くん。初見でリンとレンの見分け、そこまでつく人はじめてよ」

そっくりで、プロデューサーにも、家族にさえも。間違えられた、あの頃のわたし達。めー姉の問いに

「ああ、似てはいるけど、全然ちがう」

即答する彼

「じゃ、シャッフルタ~イム。二人とも、混じって混じって~」
「わ~」

ミク姉の掛け声でグルグル回って、混じるわたしたち。めー姉が、彼を目隠し

「はいど~っち」

目隠しをとく。彼は躊躇することなく言った

「こっちがリン。そっちがレン」

正解だった。家族もプロデューサー二人からも、感嘆の声

「なんだろう、姫と王子ってカンジ」
「はは、神威サン、その例えわかりづらい」
「すまん、自分でもビミョーだとは思うが、他に、なんともいえん」

始めのハジメ。神威サンと呼んでいたカイ兄と、彼とのやりとりに、わたしの鼓動が高まった

落ち着きがないリン

年中元気なおてんばリン

トラブルメーカーお騒がせリン

すくなくとも、姫なんていわれたことは、生まれてからこの日まで、一度もなかったから。賑やかに一通りの自己紹介が済んだ後のこと

「神威君、あなたの部屋は、二階のドアが開いてるところね。送られてきた私物は、運び込んであるから。これ、鍵」
「部屋、住んで良いのか、ここに」

めー姉の言葉に、目を剥く彼

「当たり前だよ神威サン。他に何処があるのさ。あれ、プロデューサーさん達から聞いてない」
「ああ。近くで部屋でも探そうかと思ってた」

彼と兄の会話。歌い手は、基本このマンションで生活する。縁(えにし)を深めるため。苦楽を共にするため。そして、いつでも歌えるように

「な~に水くさいこと言ってんの神威君。荷物も運び込んであるからね。さっ着替え終わったら、又このリビングに来て」

プロデューサー二人が帰宅した後、めー姉が彼に告げる。プロデューサーは、基本、歌い手と一緒に生活しない。先入観を覚えたくない。与えたくもない。何より、歌い手同士で交流してほしい、というのが理由だ

「すまないメイコ。じゃ、荷解は明日かな」
「リンが案内してあげる。こっちだよっ」
「ありがとう、リン」

彼の手を引いて二階へ向かう。彼が使うことになる部屋の前へ

「早く着替えて、一階来てね」
「メイコも言ってたが、何かあるのか」