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ドキドキと杞憂(コレットは死ぬことにした)

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「お前も悪い顔してるぞ」

ハデス様が笑っている。

思えばハデス様はよく笑うようになったなあ。

太陽のアレルギー症状で、
薬師としてお世話を始めた頃は、
いつも仏頂面で、ニコリともしなかったもの。

巷では冥府は死者の国で、
暗くて、怖いところと言われてるけど、
冥府はこんなにあたたかくて
私にはとても居心地のいいところだわ。

「ハデス様...体、あたたかくなりましたね。」

さっきまで加護の反動の不調で
冷たく冷えきっていた体が、
徐々にぬくもりを取り戻していた。

繋いだ手と、触れた肌から、
じんわり伝うあたたかさがとても心地よく、
お互いが溶け合うようで。

ん? 繋いだ手?!

ちょちょちょっ、待ってこの体勢はっ///

かなり恥ずかしいのでは?!///

コレットがベッドの上で仰向けになり、
それを覆うようにハデスがうつ伏せになって
手は指を絡ませてしっかり握っていた。

なぜこんな体勢になった?!///

隠れ兜で2人で身を隠し、
ちょっと家来であるガイコツ達や
カワウソのコツメの様子を覗き見していたら、
鼻のきくケルベロスに気づかれ、
主とコレットの姿は見えぬ家来達に
侵入者と間違われ追われたのである。

危機一髪のところ、逃げ切って
閨に倒れ込んだのだが。

必死に逃げたので、自分達が
どんな格好でいるのか考える余裕がなかった。

「ハ、ハデス様っ」

「ん?」

「手を離して...降りますから!」

「...なぜ?」

「なぜって!」

もう!ハデス様、またからかってる?!

「ほら!家来たちがさっきの報告に来ますよ!
ハチマキして!主を放って閨で寝てるなんて
思われたら、またガイコツに怒られちゃう!」

「.....。」

ハデスは手を繋いだまま、ムクっと上半身を起こした。

それこそコレットの上に馬乗りになっている。

ひーーーーっ///これはもっと恥ずかしい!

「ハデス様っっ」

ハデスは自身の手に絡めたコレットの手を
ゆっくり口元に持っていきキスをした。

「嫌だ。」

「い、嫌って!」

「離したくない。」

えっ今なんて言った?

まだ加護の反動が?!
どうなってるの~~@@///

バタバタバタッと足音が聞こえ
「ハデス様っ侵入者かもしれませぬ!」
と、息を切らし、ハチマキして武器を携えたまま
ガイコツ達が慌てた様子でやってきた。

「ほ、ほらっ、ハデス様っ」

「...邪魔が入ったな。」

邪魔?!何の?///

ようやくハデスはコレットの手を離し、
「ん」とコレットの腕をとり、
コレットを起こした。

コレットの心臓はバクバクと音を立てている。

「血圧が...」

なんで?!ほかの患者さんではこんな風にならないのに。
走ったから?

コレットは説明つかない胸の高まりをごまかすように、
赤くなる顔を手で仰ぎながら身を整えた。

「どうした。」

平然とした顔でハデスは閨のカーテンを開けた。

「ハデス様っ、姿の見えぬ侵入者が...
ややっ!コレット!お前またハデス様の閨に
入り込みおって!無礼にもほどがある!」

閨から姿を現した主の後ろに、
いつものブルーの薬師の服とは違う、
寝巻き姿のコレットが、顔を紅く染め、
ちょっと乱れた服を直していた。

「な!な!なーーーっ!」

ガイコツ達は驚きで頭を次々に落とした。

「早く申せ。」

ハデスに促され、落とした頭を拾い、
さきほどの侵入者事件を報告したガイコツ達は
意外にあっさりと「もうよい。お前達も休め」
とハデス様が言うのを?と思いながらも、
主の命令であるので自分たちの部屋へ戻った。

「のう。ハデス様の閨にコレットが...」

「言うな!今見たことは幻じゃ!」

「いやしかし...」

「あああああ、考えとうない!」

「ハデス様とコレットしゃん、
一緒に寝てましたでしね?」

「!!!!」

「もしややっぱりハデス様はコレットのことを
特別な感情で気に入られてるのでは!」

「今回の不調のせいと思いたい...」

「人間の娘など...不毛なだけではないか。」

主が、例え人間であろうと、
いい加減な気持ちで付き合う人ではないと
十分に知っている家来たちだけに、

その先にある別れを考えると、
我がことのように泣けてくる。

「やっぱりコレットが冥府に来たのが
間違いじゃったのだ。」

秘書のガイコツが、ボソッと言った。

「えっでも、コレットのおかげで
ワタシはハデス様に再び洋服を
仕立てることができるようになったん。
ハデス様だっていいお顔をするようい
なったのん?」

「...わかっておる。」

コレットが来て冥府は変わった。

にぎやかになり、ハデスが笑うようになった。

それまで150年くらい、ハデスは外に出ず
笑わず、ただひたすら仕事して
ひとりで食事をし、お世辞にも
楽しそうとは言えなかった。

主の幸せが家来の幸せ。

でもその幸せに終わりがくるとわかっている。

それを思うと切なくなってくる。

「コレットが永遠の命を持つ女神じゃったらのう。」

「それじゃ。」

「だが人間...」

「それじゃ。」

「はぁぁぁ」

ドキドキする2人をよそに、
家来の杞憂は続く。