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夢見るくらい

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仰向けに寝ていたから、カーテンをすり抜ける陽の光がわずらわしくて、カーテンを背に、身体を90度起こした。つまり胎児が眠るような体勢に変えた。最小限の覚醒でそれをしたはずなのに、音を認識はできなかったけれど、バイブが振動したような気がして、眼球に引っ付いた瞼を剥がして携帯電話のディスプレイを見る。
――ない
 メールも電話も“ない”ことを知り、睡魔の向こうで感じた振動が気のせいだったことと、一度でも目を開けてしまったことを残念に思いながら、再び目を閉じた。
 目を閉じてから、閉じる前に携帯の向こうのふすまが目に入ったことに気がついた。
――ふすまを開けたら、アーサーさんが立っていたらいい
ぼんやりと以下の思考でそんなことを思い、更に身体を90度動かす。まどろみの向こうの、温かい闇に戻りたくて、枕に顔をうずめた。

〜♪『あなたに出会い STAR 輝いて』

 バイブと共に聞きなれたアニメソングが耳元の携帯から流れた。無視もできたが、そうするわけにはいかない。だってなぜなら、特定の人を示す着うただから。メールではなく、着信だ。

 枕から顔を引き剥がして、それから、おもいっきりびっくりした。

「アーサーさん?!」

 寝起きの第一声はきちんと発声できずに掠れた。夢かと思った。ここはイギリスだったかと考えた。寝ているのは敷布団だから日本だとわかった。その他5W1Hの疑問が頭を駆け巡って。

「よう。おはよう」
「おおおおはようございます」
「悪いな、勝手にあがって。声かけたんだが、反応がなかったから」
「あぁああ、すみません。構いませんよそんなこと」
「そろそろ疲れないか?」

 はい? とイギリスの視線を辿るとその先は、イギリスの出現に驚いてガバっと起き上がった体勢のままの自分がいた。しゃちほこ状態だ。

「ああ、ありがとうございます」

 わけのわからない礼を伝えた。

 わたわたと布団を片付けて、ふと恥ずかしくなった。締め切った部屋は、なんとなく自分のにおいがこもっている気がして、それがアーサーの肺に入るのかと思うと恥ずかしさがこみ上げてきたのだ。慌てて窓を開けてまわった。

 まだだと言うアーサーと一緒に、朝食をとることになった。

「なぁ菊、夜はきちんと戸締りしろよ」
「すみません。昨日は飲みすぎたようで記憶がなくて」
「ばか物騒だろ! 襲われでもしたらどうするんだよ」

 こんな爺を襲うのはあなたくらいしかいませんよ、とは言わないでおいた。

「すみません、ご心配をお掛けしてしまいましたね」
「別に、俺に謝ってほしいわけじゃなくて……。とにかく、気をつけろよな」
「えぇ、肝に銘じておきます」
「それにしても、びっくりしましたよ。何の気なしに、あなたに――」

 言いかけて止めた。ものすごく恥ずかしいことを口走りそうになったから。

「ん? なんだよ」
「今日はどうされる予定なのですか?」
「はぐらかしても無駄だぜ。最後まで言えよな」

 まったく、妙なところで頑固な人です。

「なんでもありません。忘れてください」
「嫌だ」

 飯椀に残った最後の米を口に運んで、ゆっくりそしゃくする。飲み込んで、手を合わせる。食物への感謝の言葉を口にしてから、お茶を入れるために席を立つ。

「菊? 俺がどうしたって?」

 二杯分のお湯はすぐに沸いた。煎茶の葉を出して急須に入れる。葉が開くのを待ってから、湯のみに注ぐ。

「アーサーさん。お茶ですよ。熱いですから、気をつけてくださいね」
「話を――」

 聞かれれば聞かれるほど言いたくなくなる。
“夢の中でまで、あなたに会いたいと思いました。部屋の戸を開けて、そこにアーサーさんがいてくれたら嬉しいと、そう思ったのです”
 こんなこと、口が裂けても言えない。ましてや、無意識の願いが叶ったことが、それこそ夢のようで、こうして一緒に食事をしてもまだ、信じられないのだから。

「まったくもう。一つや二つの秘密でそんなに騒がないでください」
「ひみつ?! 俺に言えないことがあるのか?!」

 しまった。言葉の選択を誤った。

「いいえ。秘密という言葉はいけませんでしたね。えぇと、そうです、アーサーさんはおそらくご存知ですよ」

 これで、だいたい合っている。“会いたい”という気持ちを、直接示したことはない気がするが、今まで何度も“そういう”メッセージを送ってきた。それをアーサーは受け取ってくれてきた。だから、間違ってはいない。

「知ってる? って何を?」
「さぁなんでしょうね。考えてみてください」

 これでこの話は終わった。



















to be continued.
作品名:夢見るくらい 作家名:ゆなこ