ハロウィンパーティー
何よ!と抗議の声を上げようとしたら、
「静かに」
って耳元で囁かれて抱き止められる。
「なぁーんだ、あんたかぁ」
「何だとは何だよ!」
私の腰をしっかり抱いたまま拗ねたプロイセン。その様子が可笑しくて、プラチナブロンドをわしゃわしゃなで回す。コスプレのためにワックスで固めていた髪型が崩れてさらに可笑しくなる。
「どうしたの?パーティーの時は話しかけてくれなかったじゃない」
「うるせぇ連中に話しかけられたり飲んだりで拘束されてたからよ~」
そう言いながら後頭部をかく。あぁ、フランスとかスペインに飲もうぜって言われてバーカウンターに連行されてたっけか。
「やーっと解放されたぜ~。……なぁ、明日は何か用事あるか?」
額を私の額に引っ付け、意味ありげに腰に置いていた手をさらに下のほうに移動させる。スケベ男め。
「……何もないけど?」
「じゃ、ホテルで二人きりで「パーティー」の続きしようぜ?」
ニヤリと薄笑いを浮かべ赤みがかったバイオレットの瞳で見詰められる。
そういや、今日のこいつの格好、アメリカ映画のドラキュラだ。口元から付け八重歯が覗いてる。因みに私は自分の家の乙女の血を欲した殺人貴婦人だ。お互い血がたぎる興奮が欲しいといったところか。
「いいわよ、吸血鬼さん。好きなところ、吸って」
そう言って彼の首筋をなぞるように指を這わせて頬を撫で、そっと笑みを作る唇に当てた。
作品名:ハロウィンパーティー 作家名:六七化学