まるで二人は兄弟のように。
女神の加護を受けて生まれた彼は昔から人ならざるモノを見ることが多かった。
それが原因で虐げられたこともあったが、そんな時彼は天使と出会った。
天使は泣きじゃくる彼の頭をそっと撫でながら「大丈夫ッスよ!君はとーってもいい子だから」と笑いかけた。
それを信じた彼は…………
鏡の前でキメ顔をし、天使や女神に愛された自分はかっこいい。という過信に基いて行動する超ナルシスト神父に成長した。
「ンン〜。今日もパーフェクトフェイスだぜ。」
鏡の前で決めポーズを決める彼に天使はねーねー。と話しかけた。
「なんだ?十四まぁつ?」
「あのねー。野球しよ!!」
天使はどこからかバットとボールを取り出し、神父に見せた。
「ンン〜?十四まぁつ?天界の業務は済んだのか?」
神父が人差し指を立てながら訊くと彼は変わらぬ笑顔で答えた。
「んー………まだだよ〜?でも僕、カラ松兄さんと野球したい………」
「んー………気持ちはありがたいがまた女神様に怒られてしまうぞ?」
「そっかぁ………」
明らかに落ち込んだ天使は口を閉ざし、俯いてしまった。
その姿を見て神父は少し考えると天使に耳打ちをした。
「あとでしっかりとやるなら少しだけ野球してもいいぞ?」
それを聞いた天使は顔を上げ、やったー!!とバンザイをした。そして時間がおしいと言いたげに神父の背中を押した。
「じゃあ早くやろうよ!カラ松兄さん!!」
「全く、カラ松神父は十四松に甘いですね。」
女神はそう呟いて静かに笑った。
作品名:まるで二人は兄弟のように。 作家名:桜菟