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intermezzo ~パッサウ再会篇 エピローグ

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「やあ、記念撮影をお願いできるかい?」

「こんにちは。ヴィルクリヒさん。― そちらは…?」

朝のミサに出た後、ヴィルクリヒ一家に連れられ、一行は記念撮影をしに街の写真屋へと向かった。

写真屋の店主が、レナーテとエレオノーレにそっくりな婦人―、ユリウスと彼女の娘らしき少女に目をとめて訊ねる。

「ああ。― 長い事外国で暮らしていた…長女とその家族だ。…20年振りに再会したんだ」

「お二人にエレオノーレの他にもう一人お嬢さんがいたとは、こりゃ初耳だったね。だけどこちらの御婦人もレナーテさんにそっくりだ!こちらの小さなお嬢ちゃんもね。この家の女性は…皆レナーテさんの血を強く受け継いでいるのだね」
― 別嬪さんぞろいで上等上等!

撮影の支度をしながら上機嫌で写真屋の店主が付け加えた。

「上のお嬢さんは外国って、どこ行ってたの?」

「ロシアです。…その後主人の仕事の都合でフランスに…。今度はラトビアへ赴任になったので、新しい任地に発つ前に故郷を…ドイツを訪れたんです」

「…そうなの!旦那さんは商社勤めかなんか?」

「…いえ。国の関係の…」

やや言葉を濁したアレクセイに

「へぇ!旦那さん、外交官かい!そりゃ~優秀なんだね」

分かったのか分かってないのか写真屋が一人合点して大きく頷く。

「ところでそこの若いお兄さんは…旦那さんの…弟さんか…なにかなのかい?」

アレクセイにそっくりの容貌をした、しかし二人の息子と言うにはやや大きなミーチャに目をとめた店主がそう訊ねる。

「いいえ。この子は…私たちの長男なんですよ。…随分若い頃…16になってすぐの頃にこの子を産んだので、よく同じような事を訊かれるんですよ」

― ね?

ユリウスとミーチャが顔を見合わせて目で頷きあう。

「こうしていると…僕たち恋人にも…見えませんか?」
ミーチャが傍らの母親の肩を抱き金の頭に顔を寄せる。

「見えねーよ!調子のんな。バカたれが!!」

他愛のない冗談にムキになったアレクセイがミーチャの頭を叩く。

「も~!痛いよ。ファーターったら、そんなムキになる事ないじゃん」

頭を(結構本気で)叩かれたミーチャが、叩かれた頭を撫でながら口を尖らせて抗議する。

― アハハ…

一同の明るい笑いが写真館にこだました。