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或るざんな
或るざんな
novelistID. 64425
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かぐつば

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扉を開けた途端、柔らかな陽気に包まれて思わず笑ってしまう。
嘘くさいほどの春の匂い、登校前の朝の空気は静かで好き
毎日乗るこの地下鉄も好き、日々に差異はあれどみんなルーチンで日々を生きるから、カチカチと歯車が噛み合うように知らない人といつも顔を合わせる、そんな偶然に思える奇妙な必然に少し笑ってしまう。
そんな事をぼぅっと考えていると待ち合わせの駅に着く。
気付けば駅で神楽ちゃんと待ち合わせて学校に行くのもルーチンに組み込まれていた、そんな少しずつ変わっていく日々の流れも好き
「おはよう!」キチンと言えたかな?声が上ずったり顔が赤くなってないか心配になってしまう。
昨日神楽ちゃんが「私の事、好きですか?」なんて質問して私を見つめるから、好きなのに、返事をしたいのに。なんだか、声が出なくて、顔が熱くなっちゃって、好きなのに好きっていうのこんなに難しかったかな?
「つばめさん、おはようございます」綺麗な声と上品な笑み、これもルーチンに組み込まれてる事なのに、昨日のことを考えてたせいで目の奥がクラクラして顔が熱くなる。
神楽ちゃんはそんな私の手を取って涼しい顔で歩いていく。
いつかちゃんと、正面から言えたらいいな。
神楽ちゃんが好き。
作品名:かぐつば 作家名:或るざんな