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妖夢の朧な夢日記-aoi

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交錯する夢は現か幻か



「精神疾患……?
違う、私は」

頭ごなしに否定する私の、その言葉の上
覆い被せるようにして、友人は言う
私を諭そうとしながら

「妖夢。
 妖夢が火傷を負った日。
 その日、妖夢は何と会ったの?」

もう夢なのか現なのか分からなくなったその境界線の先を
境界線を
境界線そのものを見極めようとしてくる
私でも分からないことなのに、分かるのか?
分かるのなら、教えてほしい
今私は何を見ている?

私は友人の問いに答えた

「黒白の服を着て、帽子をかぶったボブカットの金髪の少女」

同じ調子で、友人は問い掛けてくる

「貴女はその時、何処にいたの?」

「博麗神社」

「その子に何をされたの?」

そこまで聞かれて、考え込む
これを言って良いのだろうか、言い淀む
友人はその考えを汲んでか、真剣そのものな表情で
私の顔を見つめてくる

しばらくして、私は言うべき事がまとまった
ようやく口を開く

「なんだか、霊夢に凄い恨みを持っていたみたいで
 今にも殺してしまいそうだったから
 私が止めようとしたら、攻撃を喰らっちゃって
 あいつ、炎の使い手らしいの
 警戒して」

言い終わった後に、友人の顔が青ざめる
口を半開きにさせて、ぼーっとしている
これは幻想郷最大の脅威だ
そんな事を分かってくれただろうか
博麗の巫女を殺すような事
そして博麗の巫女を殺す力を秘めし者
夢の暗示は間違ってはいなかったのだ
そう思うと、恐怖心と共に誇らしく思えてきた
私が幻想郷を救えるんだ、と思って

「……あのね、妖夢」

考えていた矢先、友人が恐る恐るといった様子で口を開く

「その日、そんな少女は来ていないの」

……え?
嘘だ
私はしっかりとこの眼で見た
この目で、予知夢を見て、この目で、しっかりと見たのだ
なのに、来ていないなんて、嘘だ

「証拠は……?」

私は、藁にでも縋るような思いで
例え藁でも縋りたくて
不安定な自分が頼りなくて
確証づけるものが欲しかった

「妖夢が火傷を負った日。その翌日の文々。新聞よ」

そう言って見せてきた新聞には
『冥界の庭師、身を焼いた』という見出しがでかでかと載っていた
確かにそこには少女はいない
思えば夢を見る前の事をあまり憶えていない
何もかもが曖昧だ

いや、そんなことより、私は

「ねぇ、文さんって……怪我してたんじゃなかったっけ?
 仲間に除け者にされて、羽を毟られて傷ついているんじゃ」

友人は、驚いた。
目をぐわっ、と大きく見開いて

「やっぱり、間違っていなかったんだわ……」


作品名:妖夢の朧な夢日記-aoi 作家名:桜坂夢乃