二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

魔法つかいプリキュア!♦ダークジュエルストーリー♦

INDEX|143ページ/168ページ|

次のページ前のページ
 

 リズは襲ってくる巨人を恐れもせず、タクトの杖を振った。
「キュアップ・ラパパ! 吹雪よ巻き起こりなさい!」
 リズの魔法で白雪と共に極寒の冷気が竜巻になって巨人を包み込んだ。
「ぐおぉ!?」ボルクスが足を止めた。しかし巨人は憎々しげにリズを睨んで再び足を踏み出し、「人間の魔法なんぞに!」
 そこへ飛んできたバッティが空中でマントを広げ、ボルクスにドクロの杖を向けた。
「少し大人しくしてもらいましょう」
 バッティの杖から出た黒い煙のようなものが巨大な手の形になり、ボルクスの巨体を一握りにして倒した。巨人が子供に捕えられたバッタのように足をジタバタさせた。
「くそーっ!! 闇の魔法つかいめ!!」
「今のうちに逃げなさい」
 リズは意外な救出者に深く感謝して言った。
「ありがとう」
 リズが杖を振ると魔法の絨毯が降りてくる。
「さあ、早く乗りなさい!」
 リズが激しい口調で言うと、それに気圧されたリコとモフルンが先に絨毯に飛び乗り、次にチクルンが、最後にみらいを抱いたリズが乗った。
「絨毯よ、素早く魔法学校に飛んでいきなさい!」
 バッティは絨毯が飛んでいくのを見届けてから、再び小百合の前に降りた。彼がラナをわきに抱え上げると、リリンが黒いマントにしがみ付く。
「わたしの手を取りなさい」
 バッティが手を出しても、小百合は呆然としたままうずくまっていた。
「何をしているのですか!」
 怯えた目で見上げる小百合を見てバッティは手を引くと、マントで小百合を包んで呪文を唱えた。
「オボエテーロ!」
 バッティ達の姿は瞬間に消えてなくなった。後に残されたボルクスはバッティの魔法から解放されると、悔しさのあまり大地を拳で何度も打って叫び声をあげた。

 虚空に広がる映像の一部始終を見ていたロキは渋面のまま黙っていた。
「ボルクスめ、なんてざまだ! わたしだったら確実に仕留められていたものを」
 口惜しそうにフェンリルが言うと、ロキが重い口を開く。
「確かにボルクスのヘマは許しがたい。だがよ、本当だったら奴が出る必要もなかったんだぜ」
「どういうことですか?」
 フェンリルは、驚いて振り向いた猫のように、ロキをじっと見つめていた。
「あの爆発にはプリキュアどころか島のすべてを消し去る威力があった」
「そんなバカな!? しかし、実際には島のごく一部を破壊した程度ですよ」
「爆発の瞬間に干渉してきた奴がいる」
「それが本当なら、その者は神」
「そんなようなもんだ。あの爆発の瞬間、ほんの一瞬だが見えたぜ」
「見えたとは?」
「リンクルストーンエメラルド」
 それを聞いたフェンリルは言葉が見つからなかった。ロキの顔が怒りと憎悪の為に仁王のように強張った。その中で激しく燃える瞳は見ただけで人が殺せそうだった。
「忘れていたぜ、一番厄介な奴の存在を。奴を消さない限り、この世界を支配することはできねぇ」
 ロキが傍らの黒龍の像を触ると、嘘のように今までの狂暴な表情が消えて微笑すら浮んだ。
「こいつを完全体として復活させればどんな奴も怖くねぇが、闇の結晶が足りねぇ。そろそろ俺様が動く時か」
 ロキは表情こそ穏やかになっているが、その目は異様にぎらついていて、人を射殺すような炎は消えていなかった。